2013年度シラバス
学部・学科の教育方針/カリキュラムツリー等へのリンク
科目名
光通信工学 <総合>
シラバスNO
1311500423
担当教員
吉田 実
開講年次
3年次
単位
2単位
開講期
6セメスター
分野
科目区分
専門科目
必修選択の別
選択科目
英文科目名
Optical Communication Engineering
備考
授業概要・方法等
 今日のIT社会は光通信に支えられていると言っても過言ではない。光通信工学の講義では、大容量通信を手軽に利用するための通信環境に不可欠な、光ファイバ通信技術について学ぶ。
 光とは何か? 光を用いて通信をおこなうと、なぜ大量の情報を送ることができるのか? といった基本的な事項から学習を開始し、光伝送路であるファイバの仕組と実際の構造の学習に続いて、大洋間のTbit/s(テラビット毎秒)伝送を実現するための必須技術である波長多重通信と光直接増幅技術について理解を進めてゆく。
 理論的な面のみではなく、ファイバを利用する際に必要となる実用的な知識を得ることも目標とする。
 なお、評価基準は下記の「成績表方法および基準」に100点満点の割合で記載しているが、下記の評価に基づいた点数が59点以下であり、あと一歩で到達目標を達成すると判断した場合は、必要に応じて追加指導(講義、試験、レポート等)を実施する。追加指導で達成目標をぎりぎり満たしたと判断できれば60点を与える。
学習・教育目標及び到達目標
1.光通信システムの全体像を把握する
2.光ファイバの基本的な物理と特性を理解することにより通信用ファイバの選択ができるようになる
3.大容量光通信を支える光増幅技術の基礎と、WDM通信について理解し、今後の新しい技術革新に対応可能な素養を身につける

この科目の単位修得は電気電子工学科総合エレクトロニクスコースで設定した学習・教育目標Aの達成に主体的に関与している。 
成績評価方法および基準
定期試験 70%
演習レポート、小テスト 30%
授業時間外に必要な学修
 講義において配布する資料ならびに講義中説明された重要事項などを整理するためにノートを作成すること。講義終了後に自宅などで講義資料や重要事項をノート化することにより、復習と共に理解が不十分な箇所を発見できる。
 また、講義中に実施した小テストや例題はその応用問題まで想定して学習を実施すること。
教科書
使用しない。資料を配付するのでノートを作成する事。
参考文献
「入門光ファイバ通信工学」村上泰司 コロナ社 ¥2800(2003)
「光ファイバ」森下克己 朝倉書店 ¥4200(1993)
「光通信」石尾秀樹 丸善 \3100(2003)
「光ファイバ通信入門」末松安晴 オーム社 \3600(2006)
関連科目
通信方式、電磁気学Ⅰ、Ⅱ、光・レーザー工学、フーリエ・ラプラス変換論、電気電子材料、電気物性概論
授業評価アンケート実施方法
前期開講科目は7月頃、後期開講科目は12~1月頃に実施します。
研究室・メールアドレス
吉田教授室 (31号館2階)
yoshida@ele.kindai.ac.jp
オフィスアワー
月曜日 14時30分〜15時30分  
金曜日  9時30分〜10時30分
授業計画の項目・内容
第1回      学習教育目標との関連説明、光通信概論
学習・教育目標におけるこの科目の位置づけについて説明する。
光通信概論として通信の歴史と現在の究極の通信技術である光通信に到達するまでの流れを示し、その特長と重要性を把握し、ビットコストとは何であるかが理解できるようになる。


第2回      多重化と中継
光と電気の多重化方式について学び、光通信では波長多重化により大容量化が可能である事を学ぶ。3R中継と光直接増幅についても知る。


第3回      ファイバの特性
いろいろなファイバの組成と損失について学び、石英系光ファイバの帯域について計算できるようになる。


第4回      光導波の基礎
光のシステムを記述するために不可欠なdBについて理解する。さらに、幾何光学の基礎と屈折率差により光を全反射させる導波構造の基本構造を有するスラブ導波路について知る。


第5回      導波モード
スラブ導波路の開口数と比屈折率差を求める。更に、光の定在波についての理解を進め、導波路では限られた光線(すなわち導波モード)しか存在出来ないことを理解する。


第6回      横モードとモード分散
導波モードによって導波路の伝搬時間が異なることを知り、モード分散による時間広がりを求められる様になる。


第7回      ファイバ中の光波伝搬
三次元的な導波路である光ファイバ中の電磁界の波動方程式からコア内の電界分布を求め、LPモードを命名できるようになる。


第8回      遮断波長
規格化伝搬定数から光が導波出来なくなる条件を求め、基本モードのみが伝わる条件からカットオフ波長を求められる様にする。


第9回      分布屈折率ファイバ
多モードファイバでありながら広帯域であるGIファイバのモード分散低減技術について学習し、α乗分布を有するコアの屈折率分布を求めることを可能にする。


第10回     ファイバの種類と特性
各種ファイバの種類を伝送特性面と材料面から学習する。また、伝送損失を構成する要因と評価方法を知ることにより損失の発生原因を理解出来るようになる。


第11回     ファイバの各種特性項目
モードフィールド径、遮断波長、波長分散についてどのような物理量であるかを知ることにより、適切なファイバの選択に必要な特性項目を理解する。


第12回     波長分散
高速光通信において速度限界を規定する重要な項目であるファイバの波長分散について、その発生原因と波長分散により生じる問題点と波長分散の制御方法を知る。


第13回     光伝送線路の構造
低損失な高純度ガラスの製造方法の代表例としてVAD法および、ファイバ化工程とケーブル構造並びに接続技術を学ぶことにより実際に使用されている光伝送路の構造と構築方法が理解出来るようになる。


第14回     光通信用端末技術、ファイバの接続、通信用光源
光ファイバは、必ず始端と終端が存在する。また、光ファイバを用いて長距離伝送する際にはファイバの接続技術が不可欠である。これらの問題を解決する技術を知る。さらに、光通信には信号源として不可欠なLDならびにLDとファイバとの結合も必要となる。最新の通信用LD技術とそれを用いた波長分散対策について学び、今日の技術の概要が説明できるようになる。

第15回     光増幅とフォトニックネットワーク
今日のIT社会を支えている、大容量光伝送技術である波長多重信号の中継に不可欠な技術である光増幅について理解する。また、今後の大容量光通信を支えるフォトニックネットワークの概要を理解することにより今後の技術革新に対応出来るようになる。

定期試験
試験時間は60分間とする。
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