2013年度シラバス
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科目名
光・レーザー工学 <総合>
シラバスNO
1311500464
担当教員
吉田 実
開講年次
3年次
単位
2単位
開講期
6セメスター
分野
科目区分
専門科目
必修選択の別
選択科目
英文科目名
Lasers and Electro-Optics
備考
授業概要・方法等
 人間の感覚では、通常は捉える事ができない量子力学的な効果を身近に感じられるのがレーザーである。レーザー光は多くの特徴を持ち、人工的に制御された光であるレーザー光線を利用した各種の産業応用が進められている。レーザー技術は、一般の生活にも随所に利用されるようになってきた。例えば、CDやDVDの記録や再生、およびインターネットを支える光通信にはレーザーの存在は不可欠である。また、医療や微細加工、溶接などの分野においても新たな熱源や加工装置として利用範囲が広がっている。
 本講義ではレーザーに関する理解と活用に必要な最低限の原理と共に、各種レーザー装置の特徴と応用について学ぶ。また、レーザーを利用する上で求められる注意点や周辺光デバイスの知識も重要なのでこれらについて基礎から理解する。
 なお、レーザー技術は現在も発展途上にある分野であり、研究の対象となる多くのテーマを抱えている。日々進歩している技術の概要を把握し、将来、光の利用と研究を行う上で役に立つ幅広い背景知識を得ることも目的としている。
 なお、評価基準は下記の「成績表方法および基準」に100点満点の割合で記載しているが、下記の評価に基づいた点数が59点以下であり、あと一歩で到達目標を達成すると判断した場合は、必要に応じて追加指導(講義、試験、レポート等)を実施する。追加指導で達成目標をぎりぎり満たしたと判断できれば60点を与える。
学習・教育目標及び到達目標
1.レーザー物理の理解とともに、応用に際して必要となる、重要なポイント(波長、吸収特性)等を理解する 
2.特定のレーザー応用に対して、望ましいレーザーの種類を考察することができる 
3.レーザーを応用するために必要な、基礎的な光学を活用可能になる
4.最先端のレーザー技術を理解するために必要な、光と時間の表現方法を理解できる様になる

この科目の単位修得は電気電子工学科総合エレクトロニクスコースで設定した学習・教育目標Aの達成に主体的に関与している。 
成績評価方法および基準
定期試験 70%
演習レポート、小テスト 30%
授業時間外に必要な学修
 講義において配布する資料ならびに講義中説明された重要事項などを整理するためにノートを作成すること。講義終了後に自宅などで講義資料や重要事項をノート化することにより、復習と共に理解が不十分な箇所を発見できる。
 また、講義中に実施した小テストや例題はその応用問題まで想定して学習を実施すること。
教科書
使用しない。資料を配付するのでノートを作成する事。
参考文献
「レーザー工学」中井貞雄編著 オーム社 \2940(1999)
「レーザ応用工学」小原實他 コロナ社 \3780(1998)
「レーザーと現代社会」レーザー技術総合研究所 コロナ社 \3570(2002)
「量子エレクトロニクス」前田三男 昭晃堂 \3045(1987)
関連科目
電磁気学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、フーリエ・ラプラス変換論、量子物理学、電気物性概論、電気電子材料、量子エレクトロニクス、半導体工学、電子デバイス、光通信工学
授業評価アンケート実施方法
前期開講科目は7月頃、後期開講科目は12~1月頃に実施します。
研究室・メールアドレス
吉田教授室 (31号館2階)
yoshida@ele.kindai.ac.jp
オフィスアワー
月曜日 14時30分〜15時30分  
金曜日  9時30分〜10時30分
授業計画の項目・内容
第1回      学習教育目標との関連説明、光・レーザー光の基礎
学習・教育目標におけるこの科目の位置づけについて説明する。
レーザーについて理解するためには光の物理を知る必要がある。初回は光学の基礎知識とレーザーの発生原理、およびレーザー光の持つ物理的な特徴を知ることにより、レーザーの性能と機能が理解できるようになる。


第2回      光の増幅
レーザー発振は、光の共振により得られるが、共振器から失われていく光パワーを補償するための増幅技術が不可欠である。準位と光子について理解出来るようになる。


第3回      誘導放出
初めてのレーザー発振は1960年であったが、それを遡ること43年前には、アインシュタインによって誘導放出について示されていた。光増幅の基礎となる、反転分布や誘導放出に対理解し、光増幅の基礎をする。


第4回      レーザー発振
光共振器と、光増幅の組み合わせでレーザー発振が可能となる。共振器と、増幅媒質の利得とのバランスについて知ることで基本的なレーザーの設計が可能になる。


第5回      レーザー共振器とモード
レーザー発振する際に、光の波長は独特の分布を示すようになる。また、空間的な光の分布も自然光とは異なる状況となる。共振器内で生じる、これらの不自然な分布を、モードと呼ぶが、モードの概念を知ることにより、将来必要となるレーザー装置の選択が可能となる。


第6回      レーザーの種類
レーザーの種類は、共振器と増幅媒質によって大別出来る。レーザーの種類を学ぶことによって、レーザーの活用に必要な基礎的な知識を得る。


第7回      気体レーザー
気体レーザーは炭酸ガスレーザーに代表されるように、加工などで広く産業応用されている。気体レーザーの励起方式などの基礎を学ぶことで、その特徴を説明出来るようになる。


第8回      固体レーザー、液体レーザー
今日、産業分野で最も多く利用されている、Nd:YAGなどの固体レーザーと、短パルス発生などに貢献している液体レーザーについて特徴を知ることで、使い分けが出来るようになる。


第9回      ファイバレーザー、自由電子レーザー
光ファイバは光を取り扱う上で大変有効な導波路である。その特徴を利用し、ファイバそのものを増幅媒質とすることで各種のレーザーが開発されている。ファイバレーザーの構成要素と長所を学ぶ。また、ファイバレーザーは大変新しい技術であるが多くの特徴を持っており、産業分野に於いて急速に活用が進められている。今後のファイバレーザーに関する技術と応用展開に対応出来る基礎知識を得る。また、自由電子レーザーと呼ばれる、電子そのものが増幅媒質となるレーザーについても解説する。


第10回     レーザーの性質、トランスフォームリミテッド
レーザーの特徴は、その単色性にあるが、時間的に不連続な包絡線を持つとき、波長分布が変化する。この様な時間と波長の関係について解説し、短パルス発生に必要な要素について学ぶ。


第11回     幾何光学とレーザー光
光の中でも多くの特徴を持つレーザー光であるが、光学系を利用することにより利用が可能になる。レーザー光学系の基礎となる偏波や屈折などの幾何光学や、ブリュースターなどの無反射条件、可干渉性について学習し基本的な設計を可能にする。また、光のパワーの表記方法についても学ぶ。


第12回     レーザーの集光
レーザーを利用する際、その集光性の高さは重要である。ただし、理想的な最小集光径は光学系で決まってしまう。これらはレーザーを利用する上で重要な事項であり、必要な設計事項として学ぶ。


第13回     物質とレーザーの相互作用
レーザーを物体に照射すると、加工などが可能になる。なぜ、加工が可能なのか、などについて学習する。


第14回     レーザーの応用
従来から行われている、熱的な加工と、紫外線波長域のレーザーを用いた非熱的な加工等について知り、さらに、今日の産業界で活用されているレーザー加工技術の概要を理解することにより、現在から将来にわたる、レーザーの応用に必要な基礎知識を身につけ、将来、産業界においてレーザーの活用ができるようになる。


第15回     最先端レーザー技術
現在研究が進められている、超高強度レーザーを利用すると、きわめて強い場を作り出すことが可能となり、クーロン爆発など、これまでにない新しい現象を作り出すことが可能となる。さらには、真空崩壊などの最先端分野にも活用が期待されており、これらを知ることによって極限技術の概略を理解できるようになる。

定期試験
試験時間は60分間とする。

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