2015年度シラバス
学部・学科の教育方針/カリキュラムツリー等へのリンク
科目名
電気回路Ⅲ <エレ情・エネ>
シラバスNO
1511500430
担当教員
中野 人志,橋新 裕一,吉田 実
開講年次
2年次
単位
2単位
開講期
3セメスター
分野
科目区分
専門科目
必修選択の別
選択必修科目
英文科目名
Electric Circuits Ⅲ
備考
授業概要・方法等
 電気回路Ⅱに引き続き、交流回路の基礎を学ぶ。電気回路Ⅲには、電気機器や制御工学等の専門科目を学ぶ際の基礎が盛り込まれている。
 前半は電力分野で頻繁に用いられている三相交流回路の説明に時間を費やす。次いで電気回路Iで講述した回路の諸定理を交流回路においても適用し、回路解析を行う。
 後半では電気回路の過渡現象を扱う。この際、必要となる微積分方程式の解析は必要最低限に留め、工学的なイメージの形成に重点を置く。
 受講に当たっては、電気回路Ⅰ、Ⅱの習得とその復習が必須である。
 本講義では対称三相交流回路の相電圧、線間電圧、相電流、線電流の相互関係理解と回路解析、諸定理を用いた回路解析手法の習得、および基本電気回路の過渡現象解析手法の習得を目標とする。
学習・教育目標及び到達目標
 電気回路Ⅲでは、三相交流回路の相電圧、線間電圧、相電流、線電流の相互関係理解、三相交流回路、諸定理を用いた交流回路解析手法、基本電気回路の過渡現象解析手法の習得を目標とする。
 この科目の単位修得により、受講生は少なくとも以下の項目の知識と能力を身につける。

 1.対称三相交流回路における相電圧、線間電圧、相電流、線電流の相互関係が理解できる
 2.対称三相交流回路の解析が行える 
 3.交流回路に諸定理を適用して解析することができる
 4.単エネルギー回路における過渡現象の解を微分方程式を解くことにより見出すことができる

 この科目の単位修得は電気電子工学科エレクトロニクス・情報通信コースで設定した学習・教育目標Aの達成に主体的に関与している。
成績評価方法および基準
演習・宿題レポートの提出 20%
中間試験 30%
定期試験 50%
授業時間外に必要な学修
 三相交流回路の解析手法は、電気回路Ⅱで学んだ複素代数式を用いた回路解析がベースとなっている。必要に応じて、電気回路Ⅱの内容を復習しておくこと。
 また、授業担当者より、与えられる課題(宿題)に取組むこと。
教科書
[ISBN]9784339008340 『解いてなっとく 身につく電気回路』 (中野 人志,コロナ社)
参考文献
[ISBN]9784339007282 『電気回路基礎入門』 (山口 静夫, コロナ社)
[ISBN]9784627732926 『基礎電気回路 第2版』 (伊佐 弘, 森北出版)
[ISBN]9784785611842 『電気回路』 (川村 雅恭, 昭晃堂)
[ISBN]9784339004335 『詳解電気回路例題演習 1―直流回路と交流理論』 (山口勝也, コロナ社)
[ISBN]9784274130144 『電気回路 (マグロウヒル大学演習)』 (Joseph A. Edminister, オーム社)
[ISBN]9784627733824 『電気回路 (専門基礎ライブラリー)』 (高田 進, 実教出版)
関連科目
数学系の全科目、電気回路Ⅰ、電気回路Ⅱ、電気回路Ⅳ、電気機器、制御工学、エネルギー変換工学、エネルギー伝送工学
授業評価アンケート実施方法
前期開講科目は7月頃、後期開講科目は12~1月頃に実施します。
研究室・メールアドレス
31号館7F 中野教授室&レーザー工学研究室
E-mail: hitoshi@ele.kindai.ac.jp
31号館2F 橋新教授室&レーザー応用工学研究室
E-mail: hashi@ele.kindai.ac.jp
オフィスアワー
中野:毎週木曜日 午後4時〜6時
橋新:火曜日2限と水曜日2限
授業計画の項目・内容
第1回      学習教育目標との関連説明、対称三相交流回路(1)
 学習・教育目標におけるこの科目の位置付けについて説明する。
 互いの位相が120度ずつ異なる3つの電源を結合した「三相交流電源」について説明する。3本の線で3つの負荷に電力供給が可能になることを証明する。また電源結合方式、負荷の結合方式等にも言及する。

第2回      対称三相交流回路(2)
 対称三相交流回路における電圧と電流の「名称」を整理し、相電圧、線間電圧、相電流、線電流の相互関係について説明を行う。フェーザー図の描き方についても述べ、電圧、電流の位相関係を「図」として認識してもらう。


第3回      対称三相負荷接続時における回路解析
 対称三相負荷接続時における回路解析の手法を説明する。授業の後半は関連問題の演習を行う。

第4回      三相電力
 三相交流回路における電力の説明を例題を示しながら進める。また、三相交流方式による電力伝送が単相方式に比べて優れている理由について説明を加え、演習を通じて説明事項の確認を行う。

第5回      回路に関する諸定理 -重ね合わせの理-
 直流回路で学んだ「重ね合わせの理」は交流回路でも適用できる。ここでは復習の意味も兼ねて交流回路における重ね合わせの理に関する例題を行い理解を深める。また、電圧源、電流源についてもこの段階でもう一度説明を行い再確認する。授業の後半は「重ね合わせの理」に関する演習を行う。

第6回      回路に関する諸定理 -テブナンの定理-
 直流回路で学んだテブナンの定理を交流回路に適用する。電圧源、電流源の対比を交えて理解を助ける。授業の後半はテブナンの定理を用いた回路解析の演習を行う。

第7回      回路に関する諸定理 -ノートンの定理-
 ノートンの定理を簡単な交流回路に適用する。例題と演習を交えながら説明する。授業の後半はノートンの定理を用いた回路解析の演習を行う。

第8回      中間試験
 三相交流回路、諸定理を試験範囲として、中間試験を行う。

第9回      電気回路の過渡現象
 中間試験の返却と試験の解説を行う。授業の後半は過渡現象についての説明を行う。
 電気回路は「過渡状態」を経て「定常状態」へと移行する。今までに学んだ回路解析は「定常状態」を扱っていた。「過渡状態」と「定常状態」の概念を明確にし、キャパシタ、インダクタ等のエネルギー蓄積素子のみにおいて過渡現象が生じる理由について言及する。さらに過渡現象を扱う際の数学的準備(過渡解の求め方、初期条件の考え方について等)にも時間を費やす。

第10回     直流R-L、R-C回路の過渡現象(1)
 R-L直列回路等の単エネルギー回路の過渡現象を考える。回路方程式をたてることから始め、解を得るまでを詳細に解説する。解を得る段階で「時定数」についての説明も加える。R-C回路についても同様に説明を加える。授業の後半には類題の演習を行う。

第11回     直流R-L、R-C回路の過渡現象(2)
 単エネルギー回路における演習問題を数題行い、回路解析法についての理解を深める。ここでは初期条件の考え方に重点を置く。

第12回     特性方程式による過渡現象解析およびR-L-C直列回路の過渡現象
 特性方程式による過渡現象解析の方法について例題を解きながら説明する。授業の後半には単エネルギー回路における演習を行い、微分方程式の直接解法と同様の解が得られることを確認する。

第13回     R-L-C直列回路の過渡現象
R-L-C直列回路の過渡現象を検討する。この回路の解は極めて複雑になり、条件提示が必要となる。解を求めることは要求しない。物理的なイメージをつかむことに重点を置く。

第14回     パルス回路(1)
 授業の前半15分程度で授業評価アンケートを行う。
 ステップ関数、方形波等を回路に入力した時の過渡現象(応答)を解析する。授業の後半には関連の演習を行う。

第15回     パルス回路(2)
微分回路、積分回路の概念を説明する。
ラプラス変換法適用の準備として「応答」の概念をつかむことに配慮した説明とする。

定期試験
試験時間は60分間とする。
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