2015年度シラバス
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科目名
通信方式 <エレ情>
シラバスNO
1511500440
担当教員
吉田 実
開講年次
3年次
単位
2単位
開講期
5セメスター
分野
科目区分
専門科目
必修選択の別
選択科目
英文科目名
Communication System
備考
授業概要・方法等
 今日の社会は、ありとあらゆる情報が通信ネットワークを介してやりとりされており、通信システムの存在無くして文明社会は成り立たないと言っても過言ではない。通信方式の講義では、現代社会に不可欠な通信インフラの基礎をなす技術や理論について学習する。
 まず、通信システムの概要と、各種アナログおよびディジタル信号の性質と使われ方の特徴を理解する。また、用いられている回路の概要なども学習する。これにより、各種通信方式の相違点を幅広く理解し、通信システムの設計に必要な基本事項を理解する。更に、今日の大容量な通信インフラを支えている光通信についても簡単に触れる。
 また、これらを通じて、二年次までに学習してきた物理や数学ならびに電気的な法則および諸定理が、私たちの身の回りでどのように応用あるいは活用されているのかを理解し、将来にわたる情報通信分野にとどまらない電気的な技術と知識を取り扱う幅広い応用力を身につける。
 なお、評価基準は下記の「成績表方法および基準」に100点満点の割合で記載しているが、下記の評価に基づいた点数が59点以下であり、あと一歩で到達目標を達成すると判断した場合は、必要に応じて追加指導(講義、試験、レポート等)を実施する。追加指導で達成目標をぎりぎり満たしたと判断できれば60点を与える。
 
学習・教育目標及び到達目標
通信システムの基本的な仕組みを理解し、それにより、各種の通信システムの特徴や要求事項などを説明し、必要となるシステムの選択が可能になることが目標である。

この科目の単位修得により、以下の項目の知識と能力を身につける。
1.「周波数」の概念を数学的に表現できる。
2.周波数表現に利用されるフーリエ級数・フーリエ変換の原理とその性質が理解できる。
3.フーリエ変換を利用して連続時間システムの性質を説明できる。
4.振幅変調(AM)により情報信号が伝送できることを説明できる。
5.周波数変調(FM)の原理とその性質が理解できる。
6.各種変調で発生する雑音の特性を説明でき、その影響を数学的に求めることができる。
7.デジタル通信方式に必要なパルス符号変調(PCM)方式を説明できる。

この科目の単位修得は電気電子工学科エレクトロニクス・情報通信コースで設定した学習・教育到達目標Aの達成に主体的に関与している。
成績評価方法および基準
定期試験 70%
演習、小テスト 30%
授業時間外に必要な学修
 講義において配布する資料ならびに講義中説明された重要事項などを整理するためにノートを作成すること。講義終了後に自宅などで講義資料や重要事項をノート化することにより、復習と共に理解が不十分な箇所を発見できる。
 また、講義中に実施した小テストや例題はその応用問題まで想定して学習を実施すること。
教科書
使用しない。資料を配付するのでノートを作成する事。
参考文献
[ISBN]9784274130410 『よくわかる通信工学 (セメスタ学習シリーズ)』 (植松 友彦, オーム社)
[ISBN]9784274130847 『大学課程 情報伝送工学』 (武部 幹, オーム社)
[ISBN]9784627705937 『通信工学概論[第3版]』 (山下 不二雄, 森北出版)
[ISBN]9784339005820 『通信方式入門』 (宮内 一洋, コロナ社)
関連科目
情報理論Ⅰ、情報理論、フーリエ・ラプラス変換論、光通信工学、ネットワーク工学、基礎電子回路、アナログ電子回路、電気回路Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ
授業評価アンケート実施方法
前期開講科目は7月頃、後期開講科目は12~1月頃に実施します。
研究室・メールアドレス
吉田教授室(31号館2階)
yoshida@ele.kindai.ac.jp
オフィスアワー
月曜日 13時30分〜14時30分 
金曜日 15時00分〜16時00分
授業計画の項目・内容
第1回      学習・教育目標との関連説明。情報の伝達 -通信システム概観-
学習・教育目標におけるこの科目の位置づけについて説明する。
現代の生活は通信無くして成り立たない。通信システムを概観し、それに用いられる構成要素、変調方式、等を知ることにより通信方式の大枠と通信システムに求められる特性を知る。

第2回      信号解析の基礎
複素正弦波による表記方法とフェーザとの関連などを通して、スペクトル表示をはじめとする周期信号の基礎を習得する。

第3回      信号解析とフーリエ変換(1) -フーリエ級数-
方形波など具体的例を挙げフーリエ級数の性質を学び特性とその限界を知る。

第4回      信号解析とフーリエ変換(2) -フーリエ変換-
非周期信号を用いてフーリエ級数からフーリエ変換へ密接に繋がっていることを示し、変換機能を明らかにする。

第5回      インパルスのスペクトルと連続時間信号
線形性、共役対称性などフーリエ変換の性質と連続時間システムとその表記。また、フーリエ変換の性質から理解できる特殊関数に関するスペクトルを理解し、通信方式に必要な時間波形とスペクトルについて理解をする。

第6回      フィルタとたたみ込み、振幅変調の基礎
周波数選択素子であるフィルタの種類と基礎表現を学ぶ。たたみ込みの機能を知り簡単なたたみ込みの結果を求められるようになる。さらに、波を用いて情報を送るために必要な変調について学び、振幅変調の基本を理解する。

第7回      振幅変調(1) -スペクトルと電力-
振幅変調の搬送波と変調について知り、時間波形と振幅変調を表す式を学んだ後に搬送波、側波帯などそのスペクトルを求める。また、振幅変調の搬送波と側波帯の電力を知り振幅変調の電力を求め方を理解する。

第8回      振幅変調(2) -AMの発生-
振幅変調の電力効率について計算できる様になる。また、振幅変調の電力効率が低い理由を知りDSB等へ展開する準備を行う。さらに、変調の基本である振幅変調の発生回路を学び、具体的な変調方式などを学び、ブロック図とそれを構成するために必要な回路を理解できる様になる。

第9回      振幅変調(3) -AMの電力効率の改善-
振幅変調の復調方式と回路構成を知り、包絡線検波の動作機序を理解する。さらにAMの持つ問題点を改善するためのDSB方式とSSB方式についてその特長を学ぶ。

第10回     振幅変調(4) -AMの周波数利用効率の改善-
AMの帯域を改善するための改良である各種の変調方式について知る。また、それらの変復調方式についても理解できる様になる。

第11回     位相変調と周波数変調
周波数変換による復調の学習。角度変調方式の基礎と位相変調と周波数変調の特長と時間波形や位相関係の差異について理解する。

第12回     周波数変調のスペクトルと電力と変復調方式
ベッセル関数について概説し、三角関数を引数とした三角関数の概形も理解する。これを用いてFMのスペクトルを求め、最大周波数変位と帯域幅を求める。また、FMの電力についても求められる様になる。

第13回     雑音の解析と通信システム設計
信号品質の重要な指標であるSN比の定義を知る。また、ガウス雑音と白色雑音について学習し、AM,DSB,SSB三種類の変調方式のSN比の相違を理解する。また、実際の伝送路では増幅並びに損失が複数組み合わされて構成されており、システムとしてのSN比の求め方を知る。更に雑音指数の概念とシステム構成による変化を学ぶ。さらに、dB表記について学習し通信システムにはdB表示が有利であることを理解し、基礎的な値を求められるようになる。

第14回     PCM(ディジタル)伝送の仕組みと限界ならびに伝送特性改善
パルス変調方式とディジタル通信の根幹をなすPCM方式の仕組みを知る。PCMの通信品質を低下させるビット誤りがなぜ発生するかを学び、簡単な誤り率を求められるようにする。

第15回     大容量通信技術
インターネットを支えている、現在の通信環境を構築しているのは光通信である。光通信が無くては、今日の快適なITは存在し得ない。光通信がなぜ高速通信に適しているのかその概略を学び、加入者系光システムの基礎と波長多重通信を可能にした光増幅器について理解し、説明ができるようになる。

定期試験
試験時間は60分間とする。
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