2017年度シラバス
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科目名
医用化学
シラバスNO
1711900013
担当教員
梶 博史,岡田 清孝,松村 治雄
開講年次
1年次
単位
60時間
開講期
前期
分野
科目区分
基礎科目
必修選択の別
必修科目
英文科目名
備考
授業概要・方法等
自然界にある物質は、基本的に分子あるいは原子により構成されている。医学の分野で扱う人体や微生物も例外ではない。化学は、分子や原子の構造と性質、およびその変化を扱う学問であるが、研究対象により物理化学、無機化学、有機化学などに分けられる。生物を構成する物質やそれらの生体内での変化(代謝)を研究する生化学や遺伝子の作用を扱う分子生物学なども分子を研究対象にしており、広い意味では化学の一分野である。医用化学では、生化学をはじめとする基礎医学や様々な臨床医学を学ぶために必要な化学の基礎を学ぶ。
 大半の学生は、高校で化学を勉強し入試科目として選択している。医用化学では、それらをふまえながら受験目的の化学とは異なり、化学的な考え方が身につくような内容にする。講義は、学生が受け身ではなく、自ら参加し、学びことを主体にした学生参加のアクティブ・ラーニング形式で行う。それぞれのテーマに対して、まず考え、討論・発表し、その疑問を解決するような講義形態で行う。前半は、医学をベースとした物質の構造と変化が中心の無機化学の範囲を行い、実習をはさんで後半は医療高分子化学、有機化学と生体分子について様々な方面から学ぶ。このコースを通して、将来医師として医学に携わる上で重要な化学的な知識とものの考え方を学ぶ。
学習・教育目標及び到達目標
一般目標(GIOs)
 1. 医学における化学的考え方を理解する。 
 2. 無機化学の基本を理解する。
 3. 化学実験の基本を理解する。
 4. 環境化学の基本を理解する。
 5. 高分子化学の医療応用を理解する。
 6. 有機化学の基本を理解する。
 7. 生体有機化学物質の構造機能相関を化学的に理解する。
行動目標(SBOs)
 1-1. 生体における各元素の役割について説明できる。
 2-1. 原子・元素・分子について説明できる。
 2-3. 生体物質の分子間力の役割について説明できる。
 2-4. 生体物質の配位結合とその機能について説明できる。
 2-5. 水の特性について説明できる。
 2-6. 体液の構成と機能について説明できる。
 2-7. 酸・塩基の基本について説明できる。
 2-8. 体液の緩衝能について説明できる。
 2-9. 生体における酸化・還元について説明できる。
 2-10. 化学反応の反応速度とエネルギーについて説明できる。
 3-1. 化学実験の基本について説明できる。
 3-2. 化学実験における安全対策について説明できる。
 3-3. 水溶液の緩衝能について説明できる。
 3-4. 水溶性ビタミンの定量・定性反応について説明できる。
 4-1. 化学物質が関係する環境問題について説明できる。
 4-2. 放射線の医療応用と生体への影響について説明できる。
 5-1. 高分子ポリマーの構造の基本について説明できる。
 5-2. 合成高分子物質の医療応用について説明できる。
 6-1. 有機化合物の表記法と命名法について説明できる。
 6-2. 生体内の有機化合物の種類と構造について説明できる。
 6-3. 生体分子における異性体について説明できる。
 6-4. 生体内における有機反応について説明できる。
 7-1. 脂質の種類と構造について説明できる。
 7-2. 生体内における脂質の機能について説明できる。
 7-3. 細胞膜の化学的構造と機能について説明できる。
 7-4. アミノ酸の種類と構造について説明できる。
 7-5. アミノ酸誘導体の構造と機能について説明できる。
 7-6. タンパク質の構造について説明できる。
 7-7 核酸の構造と機能について説明できる。
 7-7. 糖質の種類と構造について説明できる。
 7-8. 多糖類の構造と機能について説明できる。
 7-9. 生体内における糖代謝の化学的見方について説明できる。
この科目は、本学科の定めたディプロマポリシー1,2,5の到達に関与しています。
成績評価方法および基準
定期試験 80%
小テスト 10%
実習レポート 5%
課題レポート 5%
試験・課題に対するフィードバック方法
定期試験は期間終了後に要点と解説を補講します。
小テストは模範答案を掲示板に配布します。
実習レポートは終了後の実習講義で解説します。
課題レポートは次の講義で解説します。
教科書
メディカル化学、斉藤勝裕他著、裳華房、978-4-7853-3091-0、2015
参考文献
化学 基本の考え方を学ぶ(上、下)、村田滋訳、東京化学同人、978-4-8079-0739-7、978-4-8079-0740-3 2010
生命科学系のための物理化学、稲葉章、中川敦史訳、東京化学同人、978-4-8079-0838-7、2011
高分子化学、西久保忠臣著、オーム社、2011
バイオマテリアルサイエンス、石原一彦他著、東京化学同人、978-4807905775、2013
関連科目
生化学、分子生物学、生命科学、生理学
授業評価アンケート実施方法
医学部実施規定に準拠して行う。
研究室・メールアドレス
基礎医学部門研究室
オフィスアワー
金曜日 16:30-18:00
授業計画の内容及び時間外学修の内容・時間
第1回      イントロダクション
医学における化学的考え方、導入試験(化学の基本的知識の確認)
予習内容:教科書の全体的内容を理解し、医用化学の重要ポイントを抜き出すこと。(60分)
復習内容:講義ノートを読み返し、到達目標の達成状況を確認する。(90分)

第2回      無機化学1
原子の構造と電子軌道、分子の結合様式と混成軌道、分子間力(課題レポート)
予習内容:教科書の1-3章を読み、分からない語句や理解の困難な箇所を抜き出すこと(60分)
復習内容:講義ノートを読み返し、到達目標の達成状況を確認する。(90分)

第3回      無機化学2
生体における元素の役割(グループ討論と発表)、配位結合、化学反応と速度
予習内容:課題レポートを作製する。教科書の4,7章を読み、分からない語句や理解の困難な箇所を抜き出すこと。(180分)
復習内容:講義ノートを読み返し、到達目標の達成状況を確認する。(90分)

第4回      無機化学3
水の特性と体液、酸・塩基と体液の酸塩基平衡、酸化・還元と生体反応
予習内容:教科書の5,6章を読み、分からない語句や理解の困難な箇所を抜き出すこと。(60分)
復習内容:講義ノートを読み返し、到達目標の達成状況を確認する。(90分)

第5回      実習講義1
化学実習の基本と安全対策、実習内容
予習内容:実習書を読み、分からない語句や理解の困難な箇所を抜き出すこと(60分)
復習内容:実習ノートを読み返し、到達目標の達成状況を確認する。(60分)

第6回      実習1
基本的化学実験操作法、緩衝液の調整法、pHの測定法
予習内容:実習書の実習1を読み、実習手順を理解すること。(60分)
復習内容:実習レポートを作製し、到達目標の達成状況を確認する。(180分)

第7回      実習2
水溶性ビタミンの定量と定性実験
予習内容:実習書の実習2を読み、実習手順を理解すること。(60分)
復習内容:実習レポートを作製し、到達目標の達成状況を確認する。(180分)

第8回      実習3
蛋白質の塩析とクロマトグラフィー
予習内容:実習書の実習3を読み、実習手順を理解すること。(60分)
復習内容:実習レポートを作製し、到達目標の達成状況を確認する。(180分)

第9回      実習4
高分子ポリマー合成とその性質
予習内容:実習書の実習4を読み、実習手順を理解すること。(60分)
復習内容:実習レポートを作製し、到達目標の達成状況を確認する。(180分)

第10回     環境と化学
地球環境と大気汚染、放射線の医療応用と生体への影響
予習内容:教科書の15章を読み、分からない語句や理解の困難な箇所を抜き出すこと(60分)
復習内容:講義ノートを読み返し、到達目標の達成状況を確認する。(90分)

第11回     実習講義2
実習結果解析と考察(発表・討論)、高分子化学:合成高分子化合物の医療応用
予習内容:参考書の高分子化学の項目を読み、分からない語句や理解の困難な箇所を抜き出すこと。(60分)
復習内容:講義ノートを読み返し、到達目標の達成状況を確認する。(90分)

第12回     有機化学1
有機化合物の構造と種類および異性体、有機化学反応
予習内容:教科書の8-10章を読み、分からない語句や理解の困難な箇所を抜き出すこと。(60分)
復習内容:講講義ノートを読み返し、到達目標の達成状況を確認する。(90分)

第13回     有機化学2
脂質:生体における脂質の構造と機能、脂質と細胞膜
予習内容:教科書の11章を読み、分からない語句や理解の困難な箇所を抜き出すこと。(60分)
復習内容:講義ノートを読み返し、到達目標の達成状況を確認する。(90分)

第14回     有機化学3
タンパク質:アミノ酸の基本構造と反応性、タンパク質の構造と機能
予習内容:教科書の13章を読み、分からない語句や理解の困難な箇所を抜き出すこと(60分)
復習内容:講義ノートを読み返し、到達目標の達成状況を確認する。(90分)

第15回     有機化学4
糖質:糖質の基本構造と反応性、多糖類の構造と性質
予習内容:教科書の12章を読み、分からない語句や理解の困難な箇所を抜き出すこと(60分)
復習内容:講義ノートを読み返し、到達目標の達成状況を確認する。(90分)

定期試験
講義、実習内容全体から出題する。
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