2017年度シラバス
学部・学科の教育方針/カリキュラムツリー等へのリンク
科目名
機能Ⅱ
シラバスNO
1711900026
担当教員
梶 博史,河尾 直之,辰巳 公平,石田 昌義,髙藤 義正,上嶋 繁,栗田 隆志,岡田 清孝,嶋田 高広,森田 啓之
開講年次
2年次
単位
125時間
開講期
分野
科目区分
専門科目
必修選択の別
必修科目
英文科目名
備考
授業概要・方法等
1. 機能IIでは、生理学のうち、心臓・循環器系、内分泌系、腎・尿路系、血液系の分野を習得する。正常な機能を学び、臨床に直結する病態生理も学んでいく。臨床医学の学習に直結する生理学を習得することを目標とする。
2. 一般的な講義形式の授業や実習に加えて、学習の動機・印象付け、問題抽出・解決能力の涵養、自己学習・討論の習慣が身に付くようにテュートリアル、発表などの学生参加型の授業を設ける。
3. 主に再生機能医学の教員が講義を行うが、一部の講義では心臓血管センター・血液内科の教員や学外講師による講義を行う。
4. 主としてパワーポイントスライドを用いて講義を行うが、併せて授業内容を要約した資料を配布する。資料はあくまでも講義の参考資料であり、講義内容を網羅するものではない。講義を聴講することにより、学習のポイントを把握し、ノートをとることを推奨する。また、講義内容には一部最新トピックスや臨床医学内容を含み、講義内容全てが必ずしも試験の出題項目ではないことに注意が必要である。
5. 学生からの質問は随時受け付けるが、学生がより積極的に質問できる時間としてQ&Aやオフィスアワーを設ける。それ以外の時間も積極的な質問を推奨する。
6. 講義内容の理解状況を確認するための小テスト(毎週)、Unit終了後の総括的評価のための本試験を行い、カリキュラムの習得度を評価する。
7. 実習とテュートリアルについては、出席とレポート提出は必須である。
8. 生理学は、臨床医学を学習するための基礎学問としてきわめて重要である。教育内容の丸暗記ではなく、理論的に理解することを心がけて学習する必要がある。
9. 本試験で合格点を得るのに必要な学習のためには、簡易な参考書やプリント、過去問のみの学習では不充分である。理論的に理解するためには、講義と併行してしっかりした教科書を読んで復習し、学習する必要がある。教科書はユニットが開始するよりも、できるだけ早期に購入しておくことが望ましい。
10. 小テストは講義の習得度を評価するための形成試験であり、講義を聴講することにより習得できる範囲の選択式試験とする。
学習・教育目標及び到達目標
一般目標(GIOs)
1. 循環系における心臓の役割を学習し、心臓のポンプ作用を理解する。
2. 循環系がどのようなメカニズムで恒常性を保っているのかを学習し、血圧、循環血液量の調節機構を理解する。
3. 内分泌系の臓器から分泌されるホルモンの種類とその生理作用および関連した病態生理を学習し、恒常性を維持するためのホルモン分泌調節機構について理解する。
4. 腎臓での糸球体や尿細管の機能による尿産生のしくみと恒常性維持機構を学習し、多彩な腎機能について理解する。
5. 血液の組成とその生理的意義を学び、血液の流動性の保持および止血の生理的メカニズムを理解する。

行動目標(SBOs)
1-1. 心臓と循環系の構造と機能の関係を説明できる。
1-2. 心筋の興奮収縮連関について骨格筋・平滑筋と対比して説明できる。
1-3. 律動的な洞調律の発生メカニズムを説明できる。
1-4. 刺激伝導系の略図を描き、それぞれの生理的役割について説明できる。
1-5. 心周期について説明でき、心音との関連を理解する。
1-6. 正常心電図の成立機序を理解し、心電図の記録とその解析ができる。
1-7. 血圧、血流、血管抵抗との関係を説明できる。
1-8. 冠循環の特徴と病態生理について説明できる。
1-9. 心臓のスターリングの法則について説明できる。
1-10. 心拍出量曲線と静脈還流量曲線を描き、それぞれの曲線の調節機構について説明できる。
1-11. 心拍出量の調節メカニズムと心不全の病態生理について説明できる。
1-12. 組織修復機構、再生の3要素、幹細胞について説明できる。
2-1. 動脈と静脈の生理的役割、相違を説明できる。
2-2. 毛細血管に作用する力を知り、物質交換の原理を説明できる。
2-3. 末梢組織での体液の移動を説明できる。
2-4. 浮腫の成因を説明できる。
2-5. 血圧測定法の原理と方法について説明できる。
2-6. 血圧調節機構(短期、中期、長期的調節機構)を説明できる。
2-7. 循環系の局所性、神経性、内分泌性調節を説明できる。
2-8. 運動時の循環調節について説明できる。
2-9. 血圧異常および循環性ショックの病態生理について説明できる。
2-10. 特殊な局所循環(脳・腹腔・皮膚・胎盤循環)について説明できる。
3-1. ホルモンの種類を構造、作用機構、調節機構の観点から説明できる。
3-2. ホルモンのフィードバック制御について説明できる。
3-3. 視床下部ホルモンの種類、調節機構について説明できる。
3-4. 下垂体前葉・後葉ホルモンの調節機構、生理作用について説明できる。
3-5. 甲状腺ホルモンの産生、調節機構、生理作用、代謝について説明できる。
3-6. カルシウム代謝調節ホルモンの産生・調節機構、生理作用について説明できる。
3-7. 骨形成・吸収機構と骨代謝調節について説明できる。
3-8. 副腎皮質ホルモンの産生・調節機構、生理作用について説明できる。
3-9. 副腎髄質ホルモンの産生・調節機構、生理作用について説明できる。
3-10. 膵臓から分泌されるホルモンの生理作用、血糖の調節機構について説明できる。
3-11. 卵巣、精巣、胎盤から分泌されるホルモンの調節機構、生理作用について、性周期・妊娠・出産と関連づけて説明できる。
4-1. ネフロンおよび尿路の構造について説明できる。
4-2. 腎糸球体濾過量、腎血漿流量とその調節について説明できる。
4-3. クリアランスの概念と腎機能異常の病態生理を説明できる。
4-4. 尿細管での電解質・糖・酸・塩基の再吸収・分泌のメカニズムとその調節機構について説明できる。
4-5. 尿濃縮機構や腎の対向流理論と体液・浸透圧調節機構を説明できる。
4-6. 酸・塩基平衡調節機構について説明できる。
4-7. 排尿機構について説明できる。
5-1. 赤血球の成熟過程とその生理的作用を説明できる。
5-2. 白血球の種類・分化機構とそれぞれの生理作用を説明できる。
5-3. 血小板の分化機構と生理作用を説明できる。
5-4. 止血反応の生理学的メカニズムを説明できる。
5-5. 血液凝固線溶系を説明できる。
5-6. 貧血、止血異常、白血球異常の病態生理について説明できる。
5-7. 血液型の概念および血漿蛋白について説明できる。
このユニットの修得は、本学部の定めるディプロマポリシー1、2の達成に関与しています。
成績評価方法および基準
本試験、実習、チュートリアル(本試験の比率は70%以上とするが、内容の9割程度は記述式とする。本試験および評価は、心臓・循環器系と血液・内分泌・腎・尿路系の2回に分けて行う。) 95%
小テスト 5%
試験・課題に対するフィードバック方法
実習レポートはユニット期間内にコメント等を記載して返却します。
小テスト終了後に模範答案を講義室に掲載します。
本試験の模範答案は公開しませんが、過去問を使用した課題演習を週1~2回行います。
教科書
[ISBN]9784260017817 『標準生理学 (Standard textbook)』 (医学書院 : 2014)
参考文献
[ISBN]9784784931804 『カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版』 (日本医事新報 : 2017)
[ISBN]9784860349066 『コスタンゾ明解生理学』 (リンダ・S.コスタンゾ, エルゼビア・ジャパン : 2007)
[ISBN]9784860347246 『ガイトン生理学 原著第11版』 (アーサー・C. ガイトン, エルゼビア・ジャパン : 2010)
[ISBN]9784895927208 『ハーバード大学テキスト 血液疾患の病態生理』 (メディカルサイエンスインターナショナル : 2012)
[ISBN]9784895927093 『ハーバード大学テキスト 心臓病の病態生理 第3版』 (メディカルサイエンスインターナショナル : 2012)
関連科目
機能Ⅰ
授業評価アンケート実施方法
実施規定に準拠して行う。
研究室・メールアドレス
研究棟6階 再生機能医学教室・saiseiri@med.kindai.ac.jp
オフィスアワー
月曜 PM5-6時
授業計画の内容及び時間外学修の内容・時間
心臓・循環器系1 総論:循環系の構造と機能の関連
心臓・循環器系2 心臓、脈管の構造:肺循環と体循環、心臓弁の構造、脈管の種類
心臓・循環器系3 興奮収縮連関:心筋の活動電位発生とイオンチャネル、心筋の収縮過程
心臓・循環器系4 刺激伝導系:心筋細胞の特徴、心臓の刺激伝導系、洞房結節と房室結節
心臓・循環器系5 心周期:周期的な圧・容積変化と弁の開閉の関係
心臓・循環器系6 心電図の成立機序と異常:心電図の概念、導出方法、各波形の発生機序、心電図と不整脈の関係
心臓・循環器系7 血行力学:血圧、血流、血管抵抗の関係、循環各部の血圧の違い、ポアズイユの法則
心臓・循環器系8 心血管と内分泌系:レニン-アンジオテンシン系、抗利尿ホルモンの役割
心臓・循環器系9 心拍出量と静脈還流量:心拍出量と静脈還流量の調節機構、心拍出量曲線と静脈還流量曲線
心臓・循環器系10 心不全:各種心不全の病態生理
心臓・循環器系11 冠循環の調節:冠循環の特徴
心臓・循環器系12 再生医学:再生に重要な要素、幹細胞
心臓・循環器系13 短期的血圧調節:圧受容器反射、化学受容器反射による血圧調節機構
心臓・循環器系14 中期的血圧調節:レニン-アンジオテンシン系、stress-relaxation
心臓・循環器系15 長期的血圧調節:腎臓による体液調節機構、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系
心臓・循環器系16 血管の機能:血管の伸展性、静脈、毛細血管の機能
心臓・循環器系17 血管運動の調節:血管平滑筋の弛緩・収縮機構と神経性・液性調節
心臓・循環器系18 血圧異常:高血圧、低血圧の病態生理
心臓・循環器系19 末梢循環リンパ:毛細血管に作用する力、末梢組織での体液の移動、浮腫
心臓・循環器系20 局所循環調節-1:脳循環、腹腔循環
心臓・循環器系21 心臓循環器系の調節:圧・容積曲線、心収縮の指標
心臓・循環器系22 循環性ショック:ショック時の循環動態
心臓・循環器系23 運動と循環:運動時の循環系の変化
心臓・循環器系24 局所循環調節-2:皮膚循環、胎児循環
内分泌系1 内分泌系総論:ホルモンの種類、作用・調節機構
内分泌系2 視床下部・下垂体:視床下部ホルモン、下垂体前葉、後葉ホルモンの作用と調節機構
内分泌系3 生殖・性腺:女性の性周期、精巣ホルモンと卵巣ホルモン、妊娠・出産時の性ホルモンの機能
内分泌系4 カルシウム代謝:カルシウム代謝調節機構、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、活性型ビタミンDの作用と調節機構
内分泌系5 骨代謝:骨リモデリング、骨形成・骨吸収機構
内分泌系6 膵臓:インスリン、グルカゴンの作用、血糖調節機構
内分泌系7 副腎:副腎皮質、髄質ホルモンおよびカテコールアミンの合成・分泌経路と生理作用
内分泌系8 甲状腺:甲状腺ホルモンの合成・分泌調節機構と病態生理
内分泌系9 エネルギー代謝・アディポカイン:エネルギー代謝、アディポカインの機能とトピックス
内分泌系10 マイオカインとオステオカイン:マイオカインとオステオカインの機能とトピックス
内分泌系11 骨軟骨再生:骨・軟骨の修復・再生機構、骨・軟骨再生トピックス
内分泌系12 内分泌演習:内分泌疾患における病態生理
内分泌系13 宇宙医学:微小重力が循環系、筋、骨に及ぼす影響
腎・尿路系1 腎総論:糸球体、尿細管の機能
腎・尿路系2 腎・尿路系の構造:腎臓、尿管・膀胱の構造
腎・尿路系3 糸球体機能:腎血漿流量、糸球体濾過値、糸球体の血流調節機構
腎・尿路系4 排尿機能:膀胱の構造と機能、蓄尿反射、排尿反射
腎・尿路系5 糸球体の病態生理:腎機能の評価法、腎機能異常や腎不全の病態生理
腎・尿路系6 その他の腎機能:レニン、エリスロポエチンの分泌、ビタミンDの活性化
腎・尿路系7 尿細管機能:尿細管の電解質調節機構、糖の再吸収機構
腎・尿路系8 体液・浸透圧調節:体液量の調節、尿の希釈・濃縮機構
腎・尿路系9 酸塩基平衡の調節:腎における酸塩基平衡の調節機構
血液系1 血液総論:血液の働き、血球成分の特徴と機能
血液系2 赤血球:赤血球の成熟過程、ヘモグロビンの分解
血液系3 血球の分化:造血幹細胞の機能と特性、血球系細胞の分化過程
血液系4 鉄代謝:鉄の機能と代謝
血液系5 白血球:白血球の分化・成熟過程、種類、機能
血液系6 マクロファージ:マクロファージの機能とトピックス
血液系7 止血機構:止血機構、血小板の機能、血液凝固系
血液系8 線溶系トピックス:線溶系の活性化と調節機構
血液系9 血漿蛋白:血漿蛋白の種類と機能
血液系10 血液型:ABO式、Rh式血液型
血液系11 血液疾患病態生理:貧血、白血病、止血異常の病態生理
血液系12 血液トピックス:血友病と再生医療
予習内容:シラバスや教科書を参照し、学習ポイントを整理すること。(30分/日)
復習内容:教科書を読み返し、講義内容について理論的に理解する。(2時間/日)

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