2018年度シラバス
学部・学科の教育方針/カリキュラムツリー等へのリンク
科目名
化学実験Ⅲ <化>
シラバスNO
1811500420
担当教員
削除,森澤 勇介,鈴木 晴,削除
開講年次
2年次
単位
3単位
開講期
4セメスター
分野
科目区分
専門科目
必修選択の別
必修科目
英文科目名
Chemistry Laboratory Ⅲ
備考
授業概要・方法等
受講者を2クラスに分け、有機生化学系実験と物理化学系実験を実施する。
【有機生化学系実験】基礎有機化学、反応有機化学および基礎生化学の講義内容から代表的な項目を選定し、実験を行うことによって理論を確認するとともに実験に使用する装置や薬品の性質を理解した上で基本的な実験操作法を修得することを目標とする。有機化学の代表的な反応として、脱離反応:シクロヘキサノールからシクロヘキセンの生成、求核置換反応:2-クロロ-2-メチルプロパンの合成、およびベンゾフェノンオキシムのBeckmann転位を行う。また、生化学関連実験として、ペプチドを構成するアミノ酸の配列決定を実施する。
【物理化学系実験】物理化学系実験の目的は、原子・分子が関与する種々の現象や反応を定量的に測定し、それを解析することによって自然の法則を理解することである。そこでは、実験データの定量的な記述と解析に基づいて、物質の構造・物性・反応に関する種々の性質を明らかにする。物理化学系実験で行われる測定と考察を通して、事実に立脚した確かな論理的思考力を身に着けることを目標とする。具体的な実験項目として、シオロボフ法による2成分溶液の組成と沸点の関係、部分モル量の決定、冷却曲線より状態図の決定、2原子分子の振動回転スペクトル、示差熱分析、および、蛍光スペクトルの測定を実施する。
学習・教育目標及び到達目標
有機生化学実験、物理化学実験を通じて、それぞれの基本的な実験操作法の習得と考え方を学ぶ。
この科目の修得は、理学科化学コースの定めるディプロマポリシー2,4の達成に関与しています。
成績評価方法および基準
レポート評価 80%
実験終了後の面接諮問、臨時試験 20%
試験・課題に対するフィードバック方法
実験レポートを採点・評価・添削して返却します。
教科書
 実験テキストを配布する。
 「安全要覧(実験者のための災害防止と応急処置」 近畿大学編
参考文献
[ISBN]9784759808315 『化学のレポートと論文の書き方』 (泉美治, 化学同人)
[ISBN]9784621034705 『マイクロスケール有機化学実験』 (K.L. ウィリアムソン, 丸善)
[ISBN]9784807908455 『ヴォート基礎生化学(第4版)』 (Donald Voet, 東京化学同人 : 2014)
[ISBN]9784807907526 『物理化学実験法 第5版』 (東京化学同人 : 2011)
[ISBN]9784807905027 『バーロー物理化学 上 第6版』 (Gordon M. Barrow, 東京化学同人)
[ISBN]9784807905034 『バーロー物理化学 下 第6版』 (Gordon M. Barrow, 東京化学同人)
[ISBN]9784807905089 『物理化学 : 分子論的アプローチ 上』 (D.A. マッカーリ, 東京化学同人)
[ISBN]なし 『熱力学的な考え方 (有機化学における物理的方法 9)』 (藤代亮一, 共立出版 1967年)
[ISBN]9784563046217 『Step‐up基礎化学』 (石川 春樹, 培風館 : 2015)
関連科目
 基礎有機化学、反応有機化学I、反応有機化学II、基礎生化学、基礎物理化学、物性物理化学、量子化学
授業評価アンケート実施方法
前期開講科目は7月頃、後期開講科目は12~1月頃に実施します。
研究室・メールアドレス
 柏村成史:22号館2階(内線4484) kashimu@chem.kindai.ac.jp
 若林知成:22号館6階(内線4101) wakaba@chem.kindai.ac.jp
 佐賀佳央:22号館3階(内線4365) saga@chem.kindai.ac.jp
 森澤勇介:22号館6階(内線4104) morisawa@chem.kindai.ac.jp
オフィスアワー
 担当教員の都合を聞いた上で訪問されたし。
授業計画の内容及び時間外学修の内容・時間
第1回      実験を始めるにあたっての安全教育
物理化学実験および有機化学・生化学実験のテキストを配布するともに、これらを実施する際の安全対策、事故防止、後始末、レポートの書き方について説明する。
予習内容:安全要覧を読む
復習内容:レポートの書き方について復習する

第2回      脱離反応:シクロヘキセンの合成
オレフィンを生成する重要な反応のひとつである脱離反応の例として、シクロヘキサノールからシクロヘキセンの合成を行う。

第3回      求核置換反応:2-クロロ-2-メチルプロパン
置換反応は様々な官能基を相互に変換するのによく用いられる反応である。この実験では、アルコールの水酸基をSN1反応によって置換してハロゲン化アルキルを合成する。

第4回      ベンゾフェノンオキシムのBeckmann転位
ケトンとヒドロキシルアミンより得られるオキシムは酸触媒の存在下で転位反応を起こす。この反応はBeckmann反応と呼ばれ酸アミドや環状アミドであるラクタムの合成に有用な反応である。

第5回      ペプチドの配列決定 1 - DNP化反応
ペプチドおよびタンパク質のアミノ酸の配列決定法として有名なSanger法を習得する。そのための第一段階として、試料ペプチドのN末端のDNP化を行う。

第6回      ペプチドの配列決定 2 - 加水分解および生成物の分離
DNP化されたペプチドを加水分解し、DNPされたアミノ酸と遊離のアミノ酸を分離する。

第7回      ペプチドの配列決定 3 - TLC分析によるアミノ酸の同定
分離したDNPされたアミノ酸と遊離のアミノ酸を同定する為にTLC分析を行う。実試料のTLC分析をより効率的に行う為に、標品を用いた分析条件検討も平行して実施する。

第8回      有機生化実験
有機化学または生化学に関する実験テーマの実施

第9回      シオロボフ法による2成分系の溶液の組成と沸点
少量の試料で比較的簡単に溶液の沸点を測定することができるシオロボフの方法を用いて組成-沸点曲線を作成する。
予習内容:シオロボフ法による沸点の決定法についてテキストに従い実験ノートを作成する(90分)
復習内容:実験結果に基づきレポートを作成する(90分)

第10回     部分モル量の決定
密度測定よりモル体積および部分モル体積を求め、部分モル量について理解する。
予習内容:密度測定による部分モル体積の決定法について、テキストに従い実験ノートを作成する(90分)
復習内容:実験結果に基づきレポートを作成する(90分)

第11回     冷却曲線から状態図を描く
種々のモル分率で混合したジクロルベンゼン・ナフタレン系の冷却曲線を測定し、固・液状態図を作成する。
予習内容:冷却極性の測定についてテキストに従い実験ノートを作成する(90分)
復習内容:実験結果に基づきレポートを作成する(90分)

第12回     2原子分子の振動回転スペクトル
塩化水素分子の赤外吸収スペクトルを測定し、基準振動数から力の定数、回転線の振動数から結合距離、回転線の強度比から気体の温度を求める。
予習内容:2原子分子の振動回転スペクトルについてテキストに従い実験ノートを作成する(90分)
復習内容:実験結果に基づきレポートを作成する(90分)

第13回     示差熱分析
固体試料の発熱と吸熱現象によって生じる温度変化を基準物質との温度差として記録する示差熱分析を実施し、物質の状態変化について考察する。
予習内容:示差熱分析についてテキストに従い実験ノートを作成する(90分)
復習内容:実験結果に基づきレポートを作成する(90分)

第14回     蛍光スペクトルの測定
芳香族化合物の溶液を調製し、分散蛍光スペクトルおよび蛍光励起スペクトルを測定する。紫外可視吸収スペクトルと比較して特徴を整理する。
予習内容:蛍光スペクトルの測定についてテキストに従い実験ノートを作成する(90分)
復習内容:実験結果に基づきレポートを作成する(90分)

第15回     液体の相互溶解度の決定
なぜ温度や圧力を変えれば相互溶解度が変わるのかについて、水+フェノール系の相互溶解度を測定し、考察する。
予習内容:液体の相互溶解度の決定についてテキストに従い実験ノートを作成する(90分)
復習内容:実験結果に基づきレポートを作成する(90分)
ホームページ