2019年度シラバス
学部・学科の教育方針/カリキュラムツリー等へのリンク
科目名
臨床各論Ⅰ内科学教室(消化器内科部門)
シラバスNO
1911900019
担当教員
工藤 正俊,西田 直生志,依田 広,櫻井 俊治,南 康範,上嶋 一臣,田北 雅弘,萩原 智,泉 並木,樋野 興夫,中居 卓也,村上 卓道,岡田 清孝
開講年次
3年次
単位
150時間
開講期
分野
科目区分
専門科目
必修選択の別
必修科目
英文科目名
備考
授業概要・方法等
授業内容は講義が中心である。各講義においては、消化器臓器の解剖学、生理学、免疫学について概説し、消化器疾患の病態を理解するために必要な基礎的な知識が習得できるように努める。また、消化器疾患の病態に関わる細菌やウイルスについても説明する。これらの基礎的な知識を基盤として、各種消化器疾患の疫学、症候、検査所見、治療法について、解説する。講義により、消化器疾患の病態生理の理解を深め、病態生理の理解に基づいて、疾患の症候、検査所見、治療法について、知識の整理を図る。また、実際の臨床現場において、講義内容を実践できるように、症候や検査所見から、考えるべき鑑別診断についても解説し、臨床実習にスムーズに移行できるように配慮する。成績の評価は、(A)講義の出席及び受講態度、(B)グループ学習におけるチューターの評価、(C)筆記試験の結果、(D)小試験の結果により、総合的に行う。試験は消化器内科学の講義内容からマークシート式5者択一方式である。
アクティブ・ラーニングの形態
実験・実習科目・ディスカッション、ディベート・グループワーク・プレゼンテーション
ICTを活用したアクティブ・ラーニング
-
使用言語
日本語・英語の併用
学習・教育目標及び到達目標
一般目標(GIOs)
消化器疾患を的確に診断し,治療計画を立案する能力とその土台となる知識を得るために,消化器臓器の構造・機能とともに、各疾患の病態生理と鑑別診断を理解し,治療法の種類と治療法選択の科学的根拠を理解する。消化器疾患の病態を理解し、それによって生じる症候・検査所見を理解する。
さらには症候及び検査所見から見た疾患の鑑別および治療法について理解する。

行動目標(SBO)
1. 消化器の解剖と機能を理解し、説明することができる。
2. 消化器疾患の病態を、生理学的・病理学的な観点から説明できる。
3. 消化器疾患の症状について、列挙し、説明することができる。
4. 消化器疾患の血液検査所見について、異常値の出るメカニズムを理解し、説明することができる。 
5. 消化器疾患の画像診断の種類とそれぞれの特徴、さらにはその適応について説明することができる。
6. 各種症候や検査所見に対応した消化器疾患の鑑別診断を説明できる。
7. 消化器疾患に対する治療法の種類と治療法選択の根拠について説明できる。
8. 消化器疾患患者の心理状態や精神的特性を理解し配慮できる。
9. 肝炎の概念、疫学を説明でき、その成因、病態、原因について述べることができる。
10. 各種肝疾患の病態、症候、検査所見について述べることができる。
11. 黄疸及び肝機能障害の鑑別診断を述べることができる。
12. ビリルビン代謝の概要について説明できる。
13. 慢性肝炎・肝硬変症の病態生理と合併症を理解し、病態に応じた治療法を説明することができる。
14. 非ウイルス性肝疾患の原因、病態、治療について説明することができる。
15. 肝不全の原因、病態、治療について説明できる。
16. 肝細胞癌の病因・病態・治療法を理解し、その適応と予後について説明できる。
成績評価方法および基準
本試験 85%
実習レポート 15%
試験・課題に対するフィードバック方法
試験終了後(試験期間終了後)に模範答案(印刷物)を配布します。
教科書
[ISBN]9784260003926 『標準外科学 (STANDARD TEXTBOOK)』 (医学書院 : 2007)
[ISBN]9784890134373 『消化器病学基礎と臨床―カラー版』 (西村書店 : 2013)
[ISBN]9784254322712 『内科学 【分冊版】 (第11版)』 (朝倉書店 : 2017)
[ISBN]9784260003056 『新臨床内科学』 (高久 史麿, 医学書院 : 2009)
[ISBN]9784524254293 『新膵臓病学』 (南江堂 : 2017)
[ISBN]9784895928731 『ハリソン内科学 第5版』 (メディカルサイエンスインターナショナル : 2017)
参考文献
[ISBN]9784260000963 『新臨床外科学』 (武藤 徹一郎, 医学書院 : 2006)
[ISBN]9784890134373 『消化器病学基礎と臨床―カラー版』 (西村書店 : 2013)
[ISBN]9784524222391 『NEW外科学 改訂第3版 (Nankodo’s essential wellーadvan)』 (南江堂 : 2012)
[ISBN]9784830620300 『わかりやすい内科学』 (文光堂 : 2014)
[ISBN]9784260014243 『標準小児外科学 第6版 (標準医学シリーズ)』 (医学書院 : 2012)
[ISBN]9784815919115 『系統小児外科学』 (福澤 正洋, 永井書店 : 2013)
[ISBN]9780071410908 『Schwartz's Principles of Surgery, Eighth Edition』 (F. Brunicardi, McGraw-Hill Professional : 2004)
[ISBN]9784260106726 『専門医のための消化器病学』 (小俣 政男, 医学書院 : 2005)
[ISBN]9781259644030 『Harrison's Principles of Internal Medicine, Twentieth Edition (Vol.1 & Vol.2)』 (J. Larry Jameson, McGraw-Hill Education / Medical : 2018)
関連科目
内科学
外科学
授業評価アンケート実施方法
実施規定に準じて行う。教員は授業評価を参考に、さらなる改善を目指す
研究室・メールアドレス
(工藤:m-kudo@med.kindai.ac.jp)、(渡邉; tomohiro@med.kindai.ac.jp)、(教授室:gi-hep@med.kindai.ac.jp)、(医局:hepa-gas@med.kindai.ac.jp)、
オフィスアワー
平日 9時から17時
授業計画の内容及び時間外学修の内容・時間
肝臓腫瘍学特論(特別講義)
GIO: 肝発癌の病態と分子生物学について理解する
SBOs:
1. 高発癌化状態について説明できる。
2. ウイルス性肝癌の発癌機序について説明できる。
3. 肝細胞癌の遺伝子異常について概説できる。
4. 高発癌化状態における遺伝子の不安定性について概説できる。
5. 肝発癌の分子機構について概説できる。

慢性肝炎の診断と治療(特別講義)
GIO:慢性肝炎の原因・病態・診断および治療について理解する
SBOs:
1. 慢性肝炎の病因について説明できる。
2. B型慢性肝炎の経過・治療について説明できる。
3. C型慢性肝炎の経過・病態・治療の目的・治療法について説明できる。
4. ウイルス肝炎と肝発癌との関連を説明できる。
5. 慢性肝炎の新しい治療法について説明できる。
予習内容:「肝臓腫瘍学特論」癌遺伝子、癌抑制遺伝子、増殖因子の種類を予習する。「慢性肝炎の診断と治療」慢性肝炎の成因と病態を予習する。(30分)
復習内容:「肝臓腫瘍学特論」肝癌の遺伝子異常と慢性炎症との関わりを復習する。これは肝癌の分子標的療法を理解する近道である。「慢性肝炎の診断と治療」ではB型慢性肝炎、C型慢性肝炎の発症と自然経過の違いを復習する。(120分)

第1回      肝臓の構造と機能
GIO: 肝臓の構造と主要な働きについて理解する。
SBOs:
1. 肝小葉・区域・脈管系について説明できる。
2. 肝類洞壁細胞の働きについて説明できる。
3. 肝汁の生成とビリルビン代謝について説明できる。
4. 胆嚢・胆道系の機能について説明できる。
5. 肝における糖質・脂質・タンパク代謝について説明できる。
予習内容:肝実質細胞や各種の間質細胞の種類を予習する。(15分)
復習内容:肝実質細胞や各種の間質細胞の肝機能維持における役割を復習すること。(60分)

第2回      良性肝腫瘍の診断
GIO:良性肝腫瘍の診断について理解する
SBOs:
1. 良性肝腫瘍の腹部超音波検査の所見を説明できる。
2. 良性肝腫瘍のCT、MRI検査の所見を説明できる。
3. 良性肝腫瘍の鑑別診断で行う検査の種類を説明できる。
4. 良性肝腫瘍の疫学を説明できる。
5. 良性肝腫瘍の経過観察の方法、予後を説明できる。
予習内容:頻度の高い良性肝腫瘍を調べておく。(20分)
復習内容:良性肝腫瘍と悪性腫瘍の画像、経過の相違点を復習する。(60分)

第3回      肝疾患のCT・MR診断
GIO:肝疾患のCT・MRIの診断について理解する。 
SBOs:
1.  CT・MRI画像に対応する肝臓解剖を言える。
2.  各種肝腫瘍性病変のCT・MRIの所見を言える。
3.  びまん性肝疾患のCT・MRI所見を言える。
4.  造影CT・MRIの種類、有用性について言える。
5.  CT・MRI検査の適応を言える。
予習内容:肝臓の解剖、区域を予習しておく。(30分)
復習内容:肝疾患のCT・MRIの診断に関して、解剖、区域と造影剤の種類の違いから、疾患に特徴的な所見を復習する。(90分)

第4回      症例から学ぶ肝癌の診断と治療
GIO:肝細胞癌の実際の診断について理解する。
SBOs:
1.  肝細胞癌の症状・理学所見について説明できる。
2.  肝細胞癌の検査所見について説明できる。
3. 肝細胞癌の画像診断及び他の腫瘍との鑑別について説明できる。
4. 肝細胞癌の標準治療について説明できる。
5. 肝細胞癌の分子標的薬治療について説明できる。
予習内容:肝硬変のChild-Pugh分類を予習する。(40分)
復習内容:肝癌の治療法が肝予備能の違い(Child-Pughスコア等)により規定されることを理解し、治療法の種類を復習する。(120分)

第5回      急性肝炎・劇症肝炎
GIO: 急性肝炎・劇症肝炎の病態・診断・治療について理解する
SBOs:
1. 急性肝炎の原因を説明できる。
2. A型急性肝炎の臨床経過とウイルスマーカーについて説明できる。
3. B型急性肝炎の臨床経過とウイルスマーカーについて説明できる。
4. C型急性肝炎の臨床経過とウイルスマーカーについて説明できる。
5. 劇症肝炎の定義と治療法について説明できる。
予習内容:急性肝炎・劇症肝炎の症状を調べる。(40分)
復習内容:急性肝炎・劇症肝炎の病態・診断・治療について、慢性肝炎と対比させて理解する。(120分)

第6回      代謝性肝疾患 肝膿瘍
GIO:代謝性肝疾患の概念・病態・診断・治療について理解する。
SBOs:
1. 代謝性肝疾患を列記できる。
2. ヘモクロマトーシスの病態・診断・治療について説明できる。
3. ウイルソン病の病態・診断・治療について説明できる
4. 肝膿瘍の病態・診断・治療について説明できる。
予習内容:代謝性肝疾患の種類を整理する。(30分)
復習内容:代謝性肝疾患の概念・病態・診断・治療、特にヘモクロマトーシスとウイルソン病の病態・診断と対比させて復習する。(60分)

第7回      アルコール性肝炎NASH・NAFLD・薬剤性肝障害
GIO:アルコール性肝疾患・NASH・NAFLD・薬剤性肝障害の病態・診断・治療について理解する。
SBOs:
1. アルコール性肝疾患・NASH・NAFLDの概念について説明できる。
2. アルコール性肝疾患・NASH・NAFLDの疫学について説明できる。
3. アルコール性肝疾患・NASH・NAFLDの診断について説明できる。
4. アルコール性肝疾患・NASH・NAFLDの治療について説明できる。
5. アルコール性肝疾患・NASH・NAFLDの予後について説明できる。
6. 薬物性肝障害の機序を説明できる。
7. 頻度の高い原因薬剤を列挙できる。
8. 薬物性肝障害の症状を列挙できる。
9. 薬物性肝障害の診断方法を説明できる。
10. 薬物性肝障害の治療方法を説明できる。
予習内容:アルコール性肝疾患・NASH・NAFLD・薬剤性肝障害の成因を調べる。(20分)
復習内容:アルコール性肝疾患・NASH・NAFLD・薬剤性肝障害の病態・診断・治療を復習する。(60分)

第8回      肝疾患の症候と検査
GIO: 肝疾患時にみられる症候と肝疾患の診断に必要な検査を理解する
SBOs:
1. ビリルビン代謝の概要と黄疸の成因を説明できる。
2. 腹水の成因を説明できる。
3. 肝性脳症の病態生理、誘因、症状の特徴を説明できる。
4. 肝硬変症の身体所見と血液検査所見について、説明できる。
5. 肝疾患の診断に必要な検査について、説明できる。
予習内容:第一回の講義「肝臓の構造と機能」を復習しておく。(40分)
復習内容:肝疾患の症候と検査と、肝実質細胞、間質細胞の機能との関連を復習する。(120分)

第9回      肝硬変・肝不全
GIO:肝硬変・肝不全・門脈圧亢進症について理解する。
SBOs:
1. 肝硬変の分類・定義について説明できる。
2. 肝硬変の末期肝不全の病態・診断・治療について説明できる。
3. 門脈圧亢進症の分類・診断について説明できる。
4. 肝硬変の合併症の治療について説明できる。
5. 食道静脈瘤の治療について説明できる。
予習内容:第1回の講義「肝臓の構造と機能」、第8回講義「肝疾患の症候と検査」を復習しておく。(40分)
復習内容:肝硬変・肝不全・門脈圧亢進症の症候、病態は肝実質細胞、間質細胞の機能不全であることを理解する。(180分)

第10回     症例から学ぶC型肝炎の診断と治療
GIO:C型肝炎の診断・治療について理解する。
SBOs:
1. C型肝炎ウイルスの特徴について、説明できる。
2. C型肝炎の診断について説明できる。
3. C型肝炎の治療方法について説明できる。
4. C型肝炎の治療適応について説明できる。
5. C型肝炎の合併症について説明できる。
予習内容:慢性肝炎について調べる。(40分)
復習内容:「慢性肝炎の診断と治療(特別講義)」と合わせ、C型慢性肝炎を整理し、C肝炎ウイルス由来蛋白と抗ウイルス剤との関連を復習する。(120分)

第11回     症例から学ぶB型肝炎の診断と治療
GIO:B型肝炎の診断・治療について理解する。
SBOs:
1.  B型肝炎ウイルスの特徴について説明できる。
2.  B型肝炎の診断について説明できる。
3.  B型肝炎の治療方法について説明できる。
4.  B型肝炎の治療適応について説明できる。
5.  B型肝炎の合併症について説明できる。
予習内容:C型肝炎とB型肝炎の自然経過を予習する。(40分)
復習内容:「慢性肝炎の診断と治療(特別講義)」と合わせ、B型肝炎を整理し、B型急性肝炎とB型慢性肝炎の違いを復習する。(120分)

第12回     肝内胆管癌
GIO: 肝内胆管癌について理解する。
SBOs:
1. 肝内胆管癌の疫学を説明できる。
2. 肝内胆管癌の病理学的特徴について理解できる。
3. 肝内胆管癌の画像診断を理解できる。
4. 肝内胆管癌のステージ分類を理解できる。
5. 肝内胆管癌の治療方法を理解できる。
予習内容:肝内胆管癌のリスク因子と症状を予習する。(30分)
復習内容:肝内胆管癌と肝細胞癌のリスク、症状、所見、病態を対比させて整理する。(150分)

第13回     肝細胞癌の診断と内科的治療
GIO:肝細胞癌の病態・診断・および内科的治療について理解する。
SBOs:
1. 肝細胞の疫学について概説することができる。
2. 肝細胞癌の診断法について説明できる。
3. 肝細胞癌の腫瘍マーカーの種類と役割について説明できる。
4. 肝細胞癌の内科的治療法について説明できる。
5. 肝細胞癌の予後について説明できる。
予習内容:肝細胞癌のリスク因子と症状を予習する。(40分)
復習内容:肝細胞癌の病態・診断・および内科的治療について復習し、特に肝細胞癌特有の画像所見を復習する。また「肝臓腫瘍学特論(特別講義)」も合わせて復習する。(180分)

第14回     自己免疫性肝疾患
GIO:自己免疫性肝疾患 (自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎)の病態・診断・治療について理解する。
SBOs:
1. 自己免疫性肝疾患の概念、病態について説明できる。
2. 自己免疫性肝疾患の分類について説明できる。
3. 自己免疫性肝疾患の診断について説明できる。
4. 自己免疫性肝疾患の治療について説明できる。
5. 自己免疫性肝疾患の予後について説明できる。
予習内容:自己免疫性肝疾患の種類を調べる。(40分)
復習内容:自己免疫性肝炎と原発性胆汁性胆管炎を対比させ、病態・診断・治療を復習する。(160分)

第15回     肝疾患の外科的治療
GIO:肝癌の外科的治療の実際について理解する。
SBOs:
1. 肝細胞癌の外科治療について説明できる。
2. 胆管細胞癌の外科治療について説明できる。
3. 転移性肝癌の外科治療について説明できる。
4. 肝癌に対する肝移植について説明できる。
5. 肝癌に対する周術期管理について説明できる。
予習内容:肝臓の解剖、肝機能検査、Child-Pugh分類を整理しておく。(40分)
復習内容:肝癌の外科的治療の適応を内科的治療と比較して復習する。(180分)
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