2019年度シラバス
学部・学科の教育方針/カリキュラムツリー等へのリンク
科目名
細胞・形態学
シラバスNO
1911900070
担当教員
松田 学,加藤 茂樹,後藤 敏一,高村 史記,塚本 徹雄,博多 義之,宮澤 正顯
開講年次
1年次
単位
90時間
開講期
前期
分野
科目区分
基礎科目
必修選択の別
必修科目
英文科目名
備考
授業概要・方法等
細胞は生体を構築する基本単位である。人体も病原体も食物も、細胞もしくは細胞が作り出す物質から成り立っている。細胞の種類と個性を理解すること、細胞を構成するパーツを理解すること、細胞がつくりあげる組織・器官を理解すること、そしてそれらが相互にはたらきあってつくられるネットワークを理解することは、医学を学ぶ上で必須の項目である。本科目では、講義形式で細胞、組織、器官、器官系の構成と形態、機能とその特性を中心に概説し、また実習形式で実際の細胞や組織に触れて興味の醸成と知識の定着を図る。別科目「生命科学」と併せて、医学基礎科目を学習する上での基盤となる生物学・生命科学の知識と素養および骨太な学習姿勢を学生が身につけることが、本科目の最大のミッションである。
生物学のバックグラウンドに関して学生間に大きな開きがあることを踏まえ、まずは高校生物のリメディアルを含めた基礎的内容に関して、学生全員が体系的な枠組みを把握することを目指す。つぎに、代表的な細胞や組織あるいは情報伝達経路などに関し、主要ないくつかのトピックを少し深く掘り下げて学ぶ。そして、それを思考の足がかりとして、関連する他のトピックに触れても自考自調により理解を深められる状態としたい。講義および実習時間内に定着できる知識量は限られるため、自学自習を強く促す。
少人数のグループをつくり議論を通して教えあい学び合う環境の醸成にも注力する。ただし観察やレポート作成は個人単位で行う。質問はオフィスアワーに限らず、適宜受け付ける。なお、学生の授業内容の理解度を確認するため、また、地道で継続的な学習を奨励するため、講義時間内に小テストを数回実施する。全講義終了後に定期試験を実施し、カリキュラムの習熟度を評価する。
アクティブ・ラーニングの形態
実験・実習科目・ディスカッション、ディベート・グループワーク
ICTを活用したアクティブ・ラーニング
自主学習支援(e-learning等を活用)
使用言語
日本語
学習・教育目標及び到達目標
関連ディプロマポリシー
DP1: 医学知識と技能の修得
   医師になるために必要な医学知識と技能を修得し、さらに日々向上に努めること
DP2: 自律的学習能力
   積極的に課題に取り組み、さらに自 ら問題点を見いだし解決する姿勢を身につけること
DP4:協調精神とチーム医療
   患者に対する思いやりと奉仕の精神、 またチームワークにおける協調精神を身につけること

関連教育アウトカム
 ①医学的知識
 ②自律的継続的学習能力
 ③問題解決能力と医学研究への連結
 ④コミュニケーション能力

学習目標
 1.生命の基本単位である細胞の機能を支える構造を理解する。
 2.組織の構造と機能を学び、諸機能を支える一般的構造を理解する。
 3.組織の分類に関する体系的な知識をもとに、光学顕微鏡および電子顕微鏡による細胞像を見て、順序立て
    その構造を整理し、把握できるようになる。
 4.代表的な器官の組織構造を説明できる。
 5.代表的な器官系の構成を把握し、器官同士の連携とを支える情報伝達のしくみを理解する。
 5.機能分化した細胞を生じる発生のしくみを理解する。
 6.組織学、解剖学、発生学などの専門的な教科書を読んで自学自習する上での基盤となる知識と学習習慣を
    身につける。
 7.学生同士が教え合い学び合う、信頼と連帯感に基づいた関係性を育む。
 8.適切に実験動物を取扱うための学内ライセンスを取得する。

到達目標
 1.生物と細胞の起源について生物学的な議論ができる
 2.原核細胞と真核細胞の一般的構造を図に描ける。
 3.細胞小器官および細胞骨格の種類と機能を説明できる。
 4.光学顕微鏡のポテンシャルを最大限引き出して自在に使用できる。
 5.組織標本の代表的染色法と特性を理解し、プロトコールをもとに実践できる。
 6.細胞間の結合や情報伝達、細胞運動のしくみを理解し、細胞の振る舞いを分子的視点から考察できる。
 7.ヒトの体を、細胞-組織-器官-器官系という枠組みから、階層的に整理して眺める視点をもつ。
 8.上皮・神経・筋・結合組織の種類と、構造上の特徴、機能の特性を説明できる。
 9.筋節構造をもとに、筋収縮のしくみを説明できる。
10.神経の情報伝達のしくみとグリア細胞の働きを概説できる。
11.心臓の構造と、心拍を生じるしくみを概説できる。
12.動脈、静脈、毛細血管の構造を説明できる。
13.消化管の構成と、各部位の組織学的な違いを機能と関連づけて説明できる。
14.消化管から派生した気管、肝臓、胆嚢、膵臓の組織構造と働きを概説できる。
15.腎臓における尿生成のしくみと、浸透圧調節の重要性を説明できる。
16.代表的な内分泌器官をあげ、分泌されるホルモンのはたらきを言える。
17.体液組成および細胞内液の概要を説明できる。
18.血球の種類と機能と分化系譜を簡潔に説明できる。
19.配偶子形成のしくみ、性周期を生じるしくみ、受精のしくみを簡潔に説明できる。
20.モデル動物の発生を例に、ヒトの初期発生の過程を、順序立てて説明できる。
21.幹細胞から特定の細胞が分化するしくみを、例を挙げて説明できる。
22.ヒトに備わる生体防御のしくみの理解をもとに、アレルギーやワクチンといった免疫系が関与する異常
    や医療について説明できる。
23.生物の系統樹と、その中でのヒトの生物学的な位置付けを説明できる。
24.教科書をもとに自律的に学習を進める習慣を身につける。
25.自律的な学習を支える横断的および縦断的な人的ネットワークを構築し、それを活用できる。
26.必要な人に自らの知識を授けることや他者との意見交換が自身の知識の定着に役立つことを理解し、
    周囲の人と協調して学習を進められる。
成績評価方法および基準
定期試験(細胞、組織、器官、器官系の構造と機能の基本的事項に関する理解度を総合的に評価する) 70%
小テスト(各単元ごとの知識の短期的な定着度を評価する) 10%
実習レポート(実習課題の達成度と、観察力、情報検索能力、考察力、表現力を総合的に評価する) 10%
学習姿勢(講義内外の質問や実習や演習に取り組む姿勢から主体的に勉学に向かう習慣の形成度合を評価する) 10%
試験・課題に対するフィードバック方法
定期試験:試験終了後試験の要点と解説をUNIPA上に掲示する。必要に応じ、成績不良者を対象に補講を実施し、知識の定着を図る。
小テスト:採点し結果を個人に知らせる。クラスの中での自分の現在地がわかる情報を与える。必要に応じて講義時間内に総評と解説の時間を設ける。
実習レポート:採点後に総評および必要に応じ個別のコメントを付して、各自に返却する。
学習姿勢:よい学習姿勢が認められたらその事実を伝え、その継続を促す。
教科書
[ISBN]9784524216178 『入門組織学』 (牛木辰男, 南江堂 : 2013)
[ISBN]9784524261994 『Essential細胞生物学(原書第4版)』 (南江堂 : 2016)
[ISBN]9784784931804 『カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版【電子書籍つき】』 (日本医事新報社 : 2017)
参考文献
[ISBN]9784895928052 『ギルバート発生生物学』 (メディカルサイエンスインターナショナル : 2015)
[ISBN]9784784932320 『カラー図解 人体の細胞生物学【電子書籍付き】』 (日本医事新報社 : 2018)
[ISBN]9784895928397 『ラングマン人体発生学 第11版』 (メディカルサイエンスインターナショナル : 2016)
[ISBN]9784807909568 『ビジュアル コア生物学』 (E. J. Simon, 東京化学同人 : 2019)
3D解剖学ソフト『Visible Body; Anatomy and Physiology Ver.4+』(Argosy Publishing, Inc.:2018)
関連科目
生命科学
人体構造Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ
機能Ⅰ、Ⅱ
医用化学
授業評価アンケート実施方法
実施規程に準拠して行う
研究室・メールアドレス
進学棟2階・matsudam@med.kindai.ac.jp
オフィスアワー
火、水曜 17-18時(その他の時間も可能な限り随時対応可)
授業計画の内容及び時間外学修の内容・時間
第1回      A.細胞の構造
第1週 細胞の内部構造
【各回の予習と復習の進め方】
予習:教科書および講義資料等の該当箇所を読み、問題意識をもって講義に臨む(30分)。実習前には実習書をよく読み、作業内容を把握しておく。
なお、以下、教科書などはつぎのように略記する。
「入門組織学」第1章1節〜3節 → 入門1(1-3)
Essential細胞生物学→細胞、人体の正常と機能→黒本、
Anatomy&Physiology→AP、人体発生学→発生、など
復習:講義資料および教科書・参考書を見直し、理解が不確かな点や興味をもった疑問点を明確にする(45分)。 不明点は、クラスメートに尋ね、それでも解決しない場合は教員に質問する。(0〜60分) 
高校生物非履修者は、講義資料と入門組織学を優先的に、履修済みの者はほかの教科書・参考書も含めて幅広く予復習することが望ましい。

4/9(火)1限(松田)
①ガイダンス ②細胞の種類

4/10(水)3-4限(松田)
③実験動物の安全取扱 ④真核細胞と原核細胞の構造 ⑤細胞小器官
予習内容:高校「生物基礎」および「生物」の教科書に目を通しておく(30分)
復習内容:入門1〜2、細胞1、AP1・2(1-14)(60分)

第2回      第2週 細胞の形と運動
4/16(火)1限(松田)
①細胞骨格 ②細胞内輸送 ③細胞運動

4/17(水)3-4限(松田)
④細胞接着 ⑤細胞結合 ⑥上皮細胞の種類と構造
予習内容:入門2〜3、細胞17・20(30分)
復習内容:入門2〜3、細胞17・20、AP2(8)・3(4)・4(1-2)(60分)

第3回      第3週 細胞の観察
4/23(火)1限(松田)
①顕微鏡の歴史 ②組織固定染色法 ③実習ガイダンス 

4/24(水)3-4限(加藤、後藤,高村, 塚本, 博多、松田、宮澤) 
(実習)④光学顕微鏡の使用法 ⑤光学顕微鏡でみる細胞 ⑥レポートの書き方
予習内容:入門 巻末付1〜2、実習書(30分)
復習内容:レポート課題(60分)

第4回      B.組織の分類
第4週 神経組織と筋組織
5/7(火)1限(松田) 
①結合組織の分類 ②消化管組織の一般構造 ③組織観察ガイダンス

5/8(水)3-4限(松田) (加藤、後藤,高村, 塚本, 博多、松田、宮澤)
実習④小腸粘膜上皮の観察 ⑤重層扁平上皮の観察
予習内容:入門4・10、実習書(30分)
復習内容:入門4・10、実習書(60分)

第5回      第5週 組織の観察(1)
5/14(火)1限(松田)
①神経系の構成 ②神経細胞の構造 ③グリア細胞の種類と機能

5/15(水)3-4限
④筋の種類と構造 ⑤筋収縮のしくみ
予習内容:入門5〜6、黒本9・10・11(30分)
復習内容:入門5〜6、黒本9・10・11、
AP4(8-11)・13・14・15(1-2)・17・18(1-6)・19(1-4)・22(60分)

第6回      第6週 結合組織と血管系
5/21(火)1限(松田)
①結合組織の構造 ②細胞外基質の種類と特性

5/22(水)3-4限(松田) 
③支持組織の構造 ④骨の形成 ④脈管系の構成
予習内容:入門4・7、黒本2(30分)
復習内容:入門4・7、黒本2、AP4(3-6)・7・8・9(1-9)・27・29(60分)

第7回      第7週 血液と免疫
5/28(火)1限(松田)
①体液の構成と特徴 ②赤血球と血小板のはたらき

5/29(水)3-4限(宮澤・松田) 
③皮膚の構造 ④白血球の分類と機能 ⑤リンパ系の構成 ⑥免疫のしくみ
予習内容:入門8・9・15(1-3)、黒本7(30分)
復習内容:入門8・9・15(1-3)、黒本7、AP4(7)・6(1-7)・28・31-33(60分)

第8回      C.器官と器官系
第8週 組織と血液にみる血球
6/4(火)1限(松田)
①消化管の構成 ②消化のしくみ ③血球観察実習ガイダンス

6/5(水)3-4限(加藤、後藤,高村, 塚本, 博多、松田、宮澤) 
(実習)④血液塗抹標本作成と観察 ⑤小腸組織中の血球の観察
予習内容:入門10(1〜8)、実習書(30分)
復習内容:入門10(1〜8)、実習書、黒本3、AP38・40・42(60分)

第9回      第9週 消化管付属器官/組織観察(2)
6/11(火)1限(松田)
①肝臓の構造と機能 ②膵臓の構造と機能 ③組織観察実習ガイダンス

6/12(水)3-4限(加藤、後藤,高村, 塚本, 博多、松田、宮澤)
(実習)④小腸の組織構造 ⑤器官の機能を支える組織構造の観察(対象は自由選択)
予習内容:入門10(9〜10)、実習書(30分)
復習内容:入門10(9〜10)、黒本4、AP41(60分)

第10回     第10週 呼吸器系/個体の発生
6/18(火)1限(松田)
①呼吸器系の構成 ②気管の組織構造 ③発生実習ガイダンス

6/19(水)3-4限(松田・後藤)
(実習)④受精の観察 ⑤卵割の観察 ⑥顕微鏡の後片付け
予習内容:入門11、実習書(30分)
復習内容:入門11、実習書、黒本1、AP34-36(60分)

第11回     第11週 泌尿器系/内分泌系
6/25(火)1限(松田) 
①腎臓の構造 ②ろ過と再吸収 ③浸透圧調節

6/26(水)3-4限(松田) 
④細胞間の情報伝達様式 ⑤細胞内のシグナル伝達 ⑥主な内分泌腺の機能
予習内容:入門12・15、細胞16、黒本5・8(30分)
復習内容:入門12・15、細胞16、黒本5・8
AP24・25(1-9)・26(1-12・15-17)・43-45(60分)

第12回     D.生殖と個体発生/グループ学習
第12週 生殖系と細胞分化
7/2(火)1限(松田)
①精巣の構造と精子形成 ②卵巣の構造と卵胞の成熟

7/3(水)3-4限(松田) 
③受精と卵割 ④細胞分化のしくみ ⑤胚葉分化
予習内容:入門13・14、黒本6(30分)
復習内容:入門13・14、黒本6、AP47-49・50(1-8)(60分)

第13回     第13週 初期発生/組織学グループ学習
7/9(火)1限(松田)
①初期発生ダイジェスト  ②着床と胎盤形成

7/10(水)3-4限(松田) 
(相互学習)③細胞と組織のグループ学習 ④CBTチャレンジ(1)
予習内容:小テスト1・2、CBT C1・C2、発生2〜5(30分)
復習内容:相互学習資料、発生2〜5(60分)

第14回     第14週 器官発生/器官系機能グループ学習
7/17(水)3-4限(松田) 
(相互学習)①器官系機能のグループ学習 ②CBTチャレンジ(2)

7/23(火)1限(松田)
③器官発生ダイジェスト
予習内容:小テスト3・4、CBT C1・C2、発生6〜8および第2部、」AP50(10-14)(30分)
復習内容:相互学習資料、発生6〜8および第2部、」AP50(10-14)(60分)

第15回     第15週 器官発生/発生学グループ学習
7/24(水)3-4限(松田) 
(相互学習)①発生学のグループ学習 ②CBTチャレンジ(3)

7/30(火)1限(松田)
(コラム)③性の分化 ④総括 ⑤全体討議
予習内容:CBT C1・C2(30分)
復習内容:相互学習資料、全体復習(120分)

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