2019年度シラバス
学部・学科の教育方針/カリキュラムツリー等へのリンク
科目名
人体構造Ⅳ
シラバスNO
1911900075
担当教員
重吉 康史,長野 護,松尾 拓哉,鯉沼 聡,筋野 貢,中嶋 正人,吉川 朋子,南 陽一,佐藤 隆夫,宮田 信吾,田中 雅樹,小西 啓悦
開講年次
1年次
単位
35時間
開講期
後期
分野
科目区分
専門科目
必修選択の別
必修科目
英文科目名
備考
授業概要・方法等
ヒトの“からだ”の成り立ちを理解するためには人体の構造と機能について学ばなければならない。まず基礎的な構造を理解し、それぞれの体の各部分部分が総合的に人体を作り上げていることを理解する。構造を理解すれば、その機能についての知識が生きたものとなる。実物標本や御献体の解剖を行うことにより、まず医学の第一歩を踏み出し、正しい知識と理解を身につけることを目標としている。特に当教室では臨床医学講座、病理学講座よりの講師による解剖学講義をユニット内で取り入れている。それによって、スムーズにその後の学習に進むことができる。また、組織学講義は生理学の知識と結びつけることを重視し、講義内で、組織学と同時に生理学の基礎について触れる。これらの複合化した講義、実習によって、構造、形態が生理、病態生理と密接に関連していることを理解し、基礎医学から臨床医学にいたる総体としての医学知識を身につける。
アクティブ・ラーニングの形態
実験・実習科目
ICTを活用したアクティブ・ラーニング
-
使用言語
日本語
学習・教育目標及び到達目標
関連ディプロマポリシー( 3つ以下)
①よい医師を育てたいとの貴重なご遺志を感じながらご遺体の解剖に取り組むこと。
②医師として必要な基本的な解剖学の知識を身につける。
③解剖学の知識を応用して生理学、病理学、臨床医学における問題に取り組むことができる。

関連教育アウトカム( 3つ以下)
①倫理とプロフエツショナリズム
②医学的知識
③協調精神、チームワークの涵養
キーワード(5 つ以下)
倫理、人体構造、組織構築、発生、運動器


【学習目標】
組織学(各論)
1.泌尿器系(腎臓、尿路)の形態学的特徴と機能について理解する。
2. リンパ組織(胸腺、リンパ節、リンパ小節、脾臓)の形態学的特徴と機能について理解する。
3.内分泌器系(下垂体、松果体、甲状腺、上皮小体、副腎) の形態学的特徴と機能について理解する。
4.神経組織の形態学的特徴と機能について理解する。
5.鼻、気管、肺の組織を観察することによりそれら正常構造および機能を理解する。
6.消化管の組織を観察することによりそれらの正常構造および機能を理解する。
7.肝胆膵の組織を観察することによりそれらの正常構造および機能を理解する。
8.循環器系(心臓、血管、リンパ管)の形態学的特徴と機能について理解する。
9.男性生殖器系(精巣、精路、付属生殖腺)の形態学的特徴と機能について理解する。
10.女性生殖器系(卵巣、卵管、子宮、)の形態学的特徴と機能について理解する。
11.眼と耳の形態学的特徴と機能について理解する。
発生学(各論)
12.筋・骨格系の発生について理解する。
13.心臓の発生について理解する。
14.消化器の発生について理解する。
15.脈管系の発生について理解する。
16.呼吸器の発生について理解する。
17.咽頭弓と顔面の形成
18.尿生殖器系の発生について理解する。
19.感覚器系の発生について理解する。

【到達目標】
1-1.腎臓、尿路の形態学的特徴と機能を説明できる。
2-1.胸腺、リンパ節、リンパ小節、脾臓の形態学的特徴と機能を説明できる。
2-2.一次リンパ組織と二次リンパ組織の違いを説明できる。
3-1. 下垂体、松果体、甲状腺、上皮小体、副腎の組織学的特徴と機能を説明できる。
3-2.下垂体、副腎の血管系とその生理学的意義を説明できる。
4-1. 神経細胞、神経支持細胞、神経線維の形態学的特徴と機能について理解する。。
4-2. 中枢神経組織(大脳、小脳、脊髄)と末梢神経組織の組織学的特徴を説明できる。
5-1.鼻粘膜、気管、気管支、細気管支、終末細気管支、呼吸細気管支、肺胞管、肺胞嚢、肺胞の上皮の組織学的特徴を説明できる。
5-2. 肺の太い動脈、筋型肺動脈、細い肺静脈の組織学的特徴を説明できる。
6-1.舌、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(盲腸、結腸、直腸、虫垂)の組織学的特徴を説明できる。
7-1.肝臓、胆嚢、膵臓の組織学的特徴を説明できる。
8-1.心臓、血管系(動脈、静脈、毛細血管)、リンパ管の組織学的特徴を説明できる。
8-2.刺激伝導系を説明できる。
9-1.精巣と精路、付属生殖腺、陰茎の組織学的特徴を説明できる。
9-2.精子発生と精子形成を説明できる。
10-1.卵巣、卵管、子宮の組織学的特徴を説明できる。
10-2.卵巣周期と子宮周期を説明できる
11-1.眼球の組織学的特徴と機能を説明できる。
11-2.眼房水の産生と排出を説明できる。 
11-3.外耳・中耳・内耳の組織学的特徴と機能を説明できる。 
11-4.鼓膜から有毛細胞までの音が伝わる経路を説明できる。 
12-1.頭蓋を構成する骨の胚葉由来と骨化様式を説明できる
12-2.体節について説明できる
13-1. 心臓の発生過程を説明できる
13-2.半月弁と房室弁の形成過程と血液の逆流を防ぐ仕組みを説明できる
14-1.体腔、横隔膜、胸膜腔、腹膜腔の発生について説明できる。
14-2.消化管の発生過程を説明できる。
14-3.肝臓、脾臓および膵臓の発生過程を説明できる。                         
15-1.血管、リンパ管の発生及び形成過程を説明できる。
15-2.胎児循環と新生児循環および部位による血液の酸素飽和度の違いを説明できる。
16-1. 喉頭・気管・気管支・肺の発生過程を説明できる
16-2.肺の成熟過程を説明できる  
17-1.咽頭弓、咽頭溝、咽頭嚢、咽頭膜の発生過程を説明できる。
17-2.第一鰓弓症候群を第一鰓弓から発生する組織と関連づけて説明できる。  
18-1.腎臓、膀胱および尿管の発生過程を説明できる。
18-2.卵巣と精巣の発生過程を説明できる。
18-3.外生殖器の発生過程を説明できる。
19-1.眼の発生過程を説明できる。
19-2.耳の発生過程を説明できる。
成績評価方法および基準
定期試験 70%
レポート 30%
試験・課題に対するフィードバック方法
試験終了後、試験問題を掲示する。
教科書
[ISBN]9784890133055 『カラー人体解剖学―構造と機能:ミクロからマクロまで』 (F.H. マティーニ, 西村書店 : 2003)
[ISBN]9784895928397 『ラングマン人体発生学 第11版』 (メディカルサイエンスインターナショナル : 2016)
[ISBN]9784621303399 『ジュンケイラ組織学 第5版(原書14版) (Lange Textbook シリーズ)』 (Anthony L. Mescher, 丸善出版 : 2018)
[ISBN]9784263458051 『新編カラーアトラス組織・細胞学』 (岩永 敏彦, 医歯薬出版 : 2017)
参考文献
[ISBN]9784260020862 『グラント解剖学図譜 第7版』 (坂井 建雄, 医学書院 : 2015)
[ISBN]9784524261178 『人体解剖カラーアトラス』 (ジョナサン・D.スプラット, 南江堂 : 2015)
[ISBN]9784758120258 『臨床につながる解剖学イラストレイテッド』 (松村 讓兒, 羊土社 : 2011)
[ISBN]9784902496406 『CT・MRI解体新書―正常解剖』 (リブロ・サイエンス : 2012)
[ISBN]9784765315067 『カラー図解 神経解剖学講義ノート』 (寺島俊雄, 金芳堂 : 2011)
[ISBN]9784860343064 『グレイ解剖学 原著第3版』 (Richard L. Drake, エルゼビア・ジャパン : 2016)
[ISBN]9784524243679 『Ross組織学』 (Michael H. Ross, 南江堂 : 2010)
[ISBN]9784895922937 『スネル臨床解剖学』 (R.S. スネル, メディカルサイエンスインターナショナル : 2004)
関連科目
生理学 病理学
授業評価アンケート実施方法
実施規程に準拠して行う。
研究室・メールアドレス
anatomy@med.kindai.ac.jp
オフィスアワー
水曜4時から6時とします。しかし質問はいつでも受け付けます。教員が不在のときもあり、アポイントメントを取得して来室することが望ましい。
授業計画の内容及び時間外学修の内容・時間
組織学各論
1.【泌尿器系組織】   
腎臓、尿路の構造と機能について
腎臓の構造。
腎臓の血管系。
ネフロンの構造と機能。
腎小体の組織構築および濾過装置。
尿細管系と集合管系の構造と機能。
傍糸球体装置の構成と働き。
尿路(腎杯、腎盤、尿管、膀胱、尿道)の構造と機能。

2.【リンパ組織】
リンパ系、リンパ組織について
リンパに関わる細胞。
 リンパ球、貪食細胞、抗原提示細胞、支持細胞
インターロイキン。
Tリンパ球とBリンパ球の活性化過程。
一次リンパ組織と二次リンパ組織の違い。
リンパ節、リンパ小節の組織学的構造と働き。
胸腺、脾臓の組織学的構造と働き。

3.【内分泌組織】
内分泌器系について
3種類のホルモンの違い。
下垂体の前葉と後葉の違い。
 発生起源
 ホルモンの産生細胞
 視床下部からのコントロールシステム
 血管系とその生理学的意義
松果体の構造と機能。
甲状腺の構造と機能。
上皮小体の構造と機能。
副腎の構造と機能。
副腎の血管系。

4.【神経組織】
神経系について
神経組織の構成要素。
神経細胞の基本的構造と機能。
神経支持細胞(神経膠細胞とシュワン細胞)の構造と機能。
有髄神経線維と無髄神経線維の違い。
中枢神経組織(大脳、小脳、脊髄)の組織構築。
末梢神経組織の組織構築。  

5.【呼吸器組織】 
鼻、気管、肺の組織を観察することによりそれら正常構造および機能を理解する。
鼻粘膜の上皮、鼻粘膜上皮下の腺管の特徴。
気管の構造。
気管の上皮の特徴。
気管支、細気管支、終末細気管支、呼吸細気管支、肺胞管、肺胞嚢、肺胞の構造。
肺の太い動脈、筋型肺動脈、細い肺静脈。

6.【消化管】
消化管の組織を観察することによりそれらの正常構造および機能を理解する。
舌の構造。
食道の構造。
胃の構造。
小腸(十二指腸、空腸、回腸)の組織構造。
大腸(盲腸、結腸、直腸、虫垂)の組織
構造。

7.【肝胆膵】
肝胆膵の組織を観察することによりそれらの正常構造および機能を理解する。
肝臓のグリソン鞘。
肝臓の小葉中心静脈。
肝細胞索、類洞、毛細胆管。
肝内胆管。
肝内門脈、肝動脈、肝静脈。
胆嚢の組織構造。
膵臓小葉、外分泌腺。
膵管。
膵臓の内分泌腺。

8.【循環器】
心臓、血管系、リンパ系について
心臓の概観。
心臓壁の構造(心内膜、心筋層、心外膜。)
心膜。
心筋の特徴。
刺激伝導系。
血管の分類:動脈、静脈、毛細血管。
血管の基本的層構造:内膜、中膜、外膜。
動脈の構造:弾性型動脈、筋型(分配型)動脈、細動脈。
静脈の構造。
毛細血管の構造:連続型毛細血管、有窓型毛細血管、洞様毛細血管(類洞)。
毛細血管網の構築と血流の調節。
リンパ管の構造。

9.【生殖器(男性)】
男性生殖器(精巣、付属腺、外生殖器)について
精細管の構造。
精子発生と精子形成。
間質の構造と機能。
精巣および付属腺の導管各部位の構造と機能。
付属腺(精嚢、前立腺、 尿道球腺)の構造と機能。
陰茎の構造と機能。

10.【生殖器】
女性生殖器(卵巣、卵管、子宮)について
卵巣の構造。
卵胞の発育。
卵胞膜の構造と機能。
排卵、黄体の形成。
卵胞の閉鎖。
卵管の構造と機能。
子宮壁の構造。
子宮内膜の周期的変化。
子宮周期と卵巣周期。

11. 【特殊感覚器:眼と耳】
特殊感覚器(眼、耳)について
眼球の構造と機能。
眼球壁の三層構造。
ピントと露光の調節。
網膜の層構造と視細胞の構造・機能。
眼房水の産生と排出。
外耳・中耳・内耳の構造と機能。
聴覚と平衡覚の受容器。
鼓膜から有毛細胞までの音が伝わる経路。


発生学各論  
1.筋・骨格系の発生
中胚葉の分化
椎骨の発生
四肢と骨格筋

2.心臓の発生
心臓血管系の初期発生
心ループ形成、房室管の右方移動、 流出路の左方移動 
房室管、原始心房、原始心室、流出路の区分
弁の発生

3.消化器の発生
消化管の発生
どうして管になるのか。
どの方向に回転するのか。
肝臓、膵臓の発生


4.脈管系の発生 
  動脈、静脈の発生
  胎児と新生児の血液循環
  大動脈弓からの構造物
  リンパ系の発生


5.吸器系の発生 
  肺芽の発生
  喉頭
  気管・気管支・肺
  肺の成熟 


6.咽頭弓と顔面の形成                 
  咽頭器官とは
  咽頭弓、咽頭嚢、咽頭溝、咽頭膜
  顔面の発生
  甲状腺の発生

7. 尿生殖器系の発生 
  前腎・中腎・後腎の発生
  尿管芽と造後腎組織
  生殖器(男性・女性)の発生

8. 感覚器系の発生
  目の発生
  耳の発生
予習内容:各項目に該当する内容について教科書や参考書などにより調べておく。(60分)
復習内容:講義内容について教科書や参考試料も参照して理解に努める。(60分)

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